史上最も呪われた映画は? 悲惨なトラブルに見舞われた邦画(5)車両事故で終了の危機も…奇跡の復活劇とは?
近年、映画撮影中の悲惨な事故が度々ニュースで報じられる。特に昭和時代には日本国内でも、壮絶な撮影現場が多く存在した。今回は、制作中に悲惨なトラブルに見舞われた「呪われた映画」を5本セレクトする。有名俳優の大怪我や、時には死亡事故にまで至ったケースなど、その背景と事故の詳細を振り返りながら紹介する。(文・阿部早苗)
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呪いを吹き飛ばした吉川晃司の役者魂
『さらば あぶない刑事』(2016)
上映時間:118分
監督:村川透
脚本:柏原寛司
キャスト:舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオル、吉川晃司、菜々緒、木の実ナナ、小林稔侍
【作品内容】
定年退職まで5日と迫った鷹山(舘ひろし)と大下(柴田恭兵)は、新興ヤクザの幹部でブラックマーケットを仕切る伊能を追っていた。そんな中、謎のライダー(吉川晃司)に妨げられ伊能を逃してしまう。
【注目ポイント】
1986年に放送開始された『あぶない刑事』シリーズは、舘ひろし扮するタカ(鷹山敏樹)と、柴田恭兵扮するユージ(木下勇次)の活躍もあいまって、若年層を中心に大ヒットを記録。2本のドラマシリーズと1本のスペシャルドラマ、そして8本の劇場版が制作されてきた。
そんな本シリーズで「事件」が起きたのは、第7作目の『さらば あぶない刑事』のこと。2人の“史上最強最悪の敵役”として出演した吉川晃司が、バイク事故を起こしたのだ。
吉川が演じたのは中南米系犯罪組織の幹部、キョウイチ・ガルシア。見せ場でもあったバイクシーンは高度なアクションで、吉川は19日間にわたって練習を行っていた。
そして、スタントの専門家が参加できなかった3月3日、事件は起きる。吉川がフロントアップ(前輪を垂直方向に上げるアクション)の練習中にバランスを崩して左側に横転。左足首をバイクの下に挟んでしまったのだ。
すぐさま病院に運ばれた吉川は、診断の結果左足首骨折と判明。全治2ヶ月との診断がくだる。
しかし、吉川は、こんなことでへこたれなかった。なんと、翌日開催されたライブには、左足を椅子に乗せた状態で予定通りに参加。しかも、杖をつきながらではあったものの、『さらば あぶない刑事』の撮影にも参加した。
吉川の強い責任感と役者魂が、本作にかけられた呪いを吹き飛ばしたのだ。
(文・阿部早苗)
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