最も“いじめっ子”役が上手かった女優は? トラウマ級の名演(3)憎悪がヤバい…悪魔を完璧に演じたのは?
学園ドラマを中心に、“イジメ”を取り扱った作品はたくさんある。それに立ち向かう側を演じる俳優には同情や応援の感情を抱くが、やはりイジメを行う役を担う俳優には嫌悪の念を抱きがちだ。だが、それはその俳優の巧さの裏返しでもある。今回は、過去に放送されたドラマの中から印象に残っている“イジメっ子”役女優を5人紹介したい。(文・あまのさき)
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川栄李奈『3年A組』(2019)
アイドル卒業後、女優として確固たる地位を築いている川栄李奈も、少々変化球的ではあるがイジメに関わる役を演じていた。
それが、2019年に放送された菅田将暉主演ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)だ。教師が生徒を人質にとって学校に立てこもり、学園のスター生徒だった景山澪奈(上白石萌歌)の自殺の真相に迫っていくミステリー作品。菅田の熱演と、散りばめられた考察要素、SNSの使い方を考えさせられるなどの理由で、放送当時大きな話題となった。
川栄が演じたのは、クラスの人気者・宇佐美香帆。明るいムードメーカータイプで、澪奈の自殺には関係のなさそうなタイプに見える。ところが、実際には香帆こそが澪奈の自殺のきっかけとなるフェイク動画を投稿した犯人だった。
もともと澪奈と仲の良かった香帆。ところが澪奈は、香帆が自分と仲良くするのはSNSのフォロワーを集めるためであることに違和感を抱いていた。澪奈は次第に茅野さくら(永野芽郁)との親交を温めていく。香帆にとってはそれが面白くなかった。下心はあったにせよ、友情だったはずのものは憎悪へ変わり、それが嫌がらせという形で表出していく。
すべてが明らかになったあとに、菅田演じる柊と香帆が言い合いをする場面がある。香帆の想像力の欠如を指摘する柊と、自身の苦しい胸の内を吐露する香帆。哀しみ、怒り、憎悪…思春期の友人関係で発生しがちな様々な感情をない交ぜにした熱演は、女優・川栄李奈の存在感を改めて示す重要な場面だった。
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