実話を基にした“泣ける洋画”の傑作は? 珠玉の名品(4)末期がんの妻との別れが辛い…感動のエッセイを映画化
世の中には、自分には決して真似できないと思うような苦しい戦いを乗り越えてきた先人たちが存在する。今回は、実話を基にした、心が温まる洋画を5本セレクト。世界各国で、仕事や病、時には国家や迫害者とひたむきに戦った人々の真実を描いた作品をご紹介する。(文・阿部早苗)
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『Our Friend/アワー・フレンド』
上映時間:126分
原題:Our Friend
製作国:アメリカ
監督:ガブリエラ・カウパースウェイト
原作:マシュー・ティーグ
脚本:ブラッド・インゲルスビー
キャスト:ケイシー・アフレック、ダコタ・ジョンソン、ジェイソン・シーゲル、チェリー・ジョーンズ、ジェイク・オーウェン、グウェンドリン・クリスティー
【作品内容】
ジャーナリストのマットと舞台女優で妻のニコルは、仕事と育児に忙しい日々を送っていた。そんな中、ニコルが末期癌と宣告される。育児と妻の介護で追い詰められるマットをサポートするため、親友デインが訪れる。
【注目ポイント】
本作は2015年、男性誌「エスクァイア」に掲載されたジャーナリストのマシュー・ティーグによる実体験を綴ったエッセーを基に、無償の愛と友情を描いた作品だ。
夫マットに扮するのは『オーシャンズ』シリーズをはじめとする多くの作品に出演し、俳優ベン・アフレックを兄に持つケイシー・アフレック。マットの妻ニコルを『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』シリーズのダコタ・ジョンソン、夫婦の親友デインを『ザ・マペッツ』などのジェイソン・シーゲルが演じる。
ジャーナリストのマット・ティーグ(ケイシー・アフレック)と妻で舞台女優のニコル(ダコタ・ジョンソン)は、育児と仕事に忙しい毎日を送るなか、ニコルが末期癌と宣告される。
子育てと介護の負担によって心身ともに追い詰められていくマット。そんな彼をサポートするため、長年の親友デインはティーグ家に向かう。
ニコルの闘病生活を軸に、3人の出会いとデインの過去が交錯していく。かつてニコルとデインは、ニコルが出演する舞台で仲良くなった。その後ニコルは夫にデインを紹介し2人は意気投合する。
デインは、ジャーナリストとして世界中をまわり、ほとんど家に戻らないマットをニコルに変わって一喝したことや、マットがニコルの不倫で傷ついた時、デインはマットの傍で支えた過去を振り返る。
一方、デインは、実家暮らしでコメディアンの夢も叶わず自暴自棄になって死を選ぼうとした時、マットによって救われた過去があった。これまでの出来事によって絆を深めていった3人の友情は強い。
末期癌のニコルを通して、本人の苦しみや死と向き合う葛藤、家族の苦悩と悲しみが繊細に描かれている。大切な家族や友人との永遠の別れはとても辛く、悲しみを乗り越えることは並大抵のことではない。
ニコルの旅立ちによって悲しみに暮れるデイン。そんな彼のためにマットが書き上げた「友へ」というタイトルのエッセーを基に描かれたのが本作だ。見返りを求めない愛に触れる渾身の一作である。
(文・阿部早苗)
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