最も“いじめっ子”役が上手かった女優は? トラウマ級の名演(5)ブチ切れ演技がヤバい…悪魔のような女を怪演
text by あまのさき
学園ドラマを中心に、“イジメ”を取り扱った作品はたくさんある。それに立ち向かう側を演じる俳優には同情や応援の感情を抱くが、やはりイジメを行う役を担う俳優には嫌悪の念を抱きがちだ。だが、それはその俳優の巧さの裏返しでもある。今回は、過去に放送されたドラマの中から印象に残っている“イジメっ子”役女優を5人紹介したい。第5回。(文・あまのさき)
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かわいさが印象に残る、愛され(!?)イジメっ子
今田美桜『花のち晴れ』(2018)
『花より男子』(2005)から10年の時を経て、落ち目となった英徳学園で繰り広げられる青春ラブコメディー「花のち晴れ」(TBS系・2018年)。今田美桜は、平野紫耀演じる神楽木晴に幼いころから片想いしている真矢愛莉を演じた。この作品は今田の出世作といっても過言ではないだろう。
英徳学園の制服に身を包んだツインテールの愛莉。不動産王のご令嬢ということで、わがままで生意気ではあるものの、かわいい。この作品の世界ではお馴染みとなっている「庶民狩り」を誰よりも楽しむなど、小悪魔というよりはもはや悪魔的だが、とにかくかわいいのだ。
だが愛莉は、晴と次第に距離を縮めていく主人公の江戸川音(杉咲花)に嫉妬し、遊びに行った先で音を冷蔵室に閉じ込めるという暴挙に出る。ブチ切れたお嬢様はやることが容赦ない。その後、自身の行為を晴に叱責され、「もっともっと愛莉で頭いっぱいにしてよ!」と気持ちを吐露する。愛莉のやったことは完全にアウトだが、片想いの切なさを目一杯表現してみせた今田に共感した人は多いはず。
イジメっ子を演じるとなると作品のヘイトを向けられる存在となりがちだが、最後には音と仲良くなれる愛莉のキャラクター性と今田の持つ魅力が相まって、真矢愛莉は視聴者に恐怖とともに応援する心も喚起させる稀有な存在となった。
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