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『相棒』史上最高の神回は? 冠城亘(反町隆史)編の名作(2)屈指の鬱回…名女優の凄まじい演技は語り草

text by Naoki

変人だが腕が立つ刑事の杉下右京と、その相棒が事件を解決していくドラマ『相棒』。シリーズは2000年から2024年現在まで、約400話のテレビシリーズを始め、様々なコンテンツで親しまれている。今回は4代目相棒・冠城亘(反町隆史)編の中でも伝説的なエピソードをセレクト。その面白さの真髄に迫る。第2回。(文・Naoki)

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『相棒』シリーズ屈指の鬱回

シーズン15 フェイク(第7話)

女優の安達祐実
安達祐実Getty Images

 本作は“芝居と演出が噛み合った屈指の鬱回”だ。

 小学生男児2人が誘拐される事件が発生。その渦中で被害者の1人である高木翔太君が遺体で発見され、母親の美奈子も遺体を息子だと認める。

 そして犯人は、もう1人の被害者である中山広斗君の両親に身代金を要求。そんな中、冠城は美奈子へ忘れ物を届けに向かうも、息子が死んだにも関わらず彼女は不敵に笑っており、自宅からは子供と話している声が聞こえる。

 右京は捜査に参加して犯人グループを追い、冠城は美奈子を疑いマークする。犯人グループは右京の活躍で逮捕され広斗君も無事に救出される。

 美奈子は犯人とは全く関係無く、最愛の息子が殺され現実逃避し息子が生きていると思い込んだ被害者遺族でしかなかった。特命係に真実を知らされてもなお虚構にすがる彼女は息子の幻を抱きしめ、崩れ落ちるだけであった。

 美奈子を演じる安達祐実は説明不要の名女優だが、本作でもその凄まじい演技力を披露している。息子を失い茫然自失となる前半、どこか壊れているが会話は成り立っている中盤、真実を伝えられて半狂乱になる後半…これら全てに鬼気迫るものがある。

 そこに付けられる演出は現実世界と美奈子が見ている虚構世界の両方を行ったり来たりするアプローチが取られている。そうすることで「翔太が生きているのでは」と視聴者をミスリードしつつ、最後に真実が明かされることで美奈子の悲しみに共感させる。

 良い芝居と良い演出が噛み合った結果、鬱回が生まれるのは『相棒』らしいと言えるだろう。

(文・Naoki)

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【了】

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