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視聴者本気でブチ切れ…名演技がハマり過ぎて大炎上の”悪役”俳優 (3)いじめ描写がエグすぎた…伝説の名演

text by shuya

ドラマや映画を見ていると「悪役」がハマりすぎて、嫌な気持ちになることがある。演じた俳優にとっては、たまったものではないが、見方を変えれば、演技に説得力があったということの証でもある。今回は「悪役」を見事に演じたことで視聴者からブーイングをくらった役者をセレクト。それぞれの演技の魅力に迫る。第3回。(文・shuya)

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忍成修吾『リリイ・シュシュのすべて』(2001)

忍成修吾
忍成修吾【Getty Images】

 20年以上の俳優としてのキャリアを持つ忍成修吾は、「悪役」のイメージが濃厚な俳優のひとりだろう。その影響力は、画面に登場するたびに、裏切るのではないか? と忍成演じるキャラクターの本性を怪しむ声がSNSなどで上がるほど。

 ドラマから映画まで媒体の垣根を超えて、観る者に忘れがたい衝撃を与えてきた忍成だが、中でも彼のイメージを決定づけた作品の筆頭に挙げられるのが、岩井俊二監督の代表作『リリイ・シュシュのすべて』である。

 2000年代を代表する邦画の傑作であり、屈指の「鬱映画」としても知られている本作で、市原隼人演じる主人公・雄一を壮絶なイジメで苦しめる同級生・星野を演じた忍成の芝居は、背筋が凍るほど恐ろしかった。

 元々、雄一とは親友関係であった星野は、雄一を含めた仲間たちとの沖縄旅行で不慮の事故に遭い、生死を彷徨う。夏休みが終わり、新学期が始まると星野の性格は様変わり。同級生の頭にスクールチェアを振り下ろし、全裸で泥畑に飛び込ませるといった蛮行に及び、その牙は仲の良かった雄一に向けられる。

 気の優しい少年から冷徹ないじめっ子に変貌する星野。そんな振り幅のある役に血を通わせる忍成の演技は、手持ちカメラを多用したドキュメンタリー調の演出によってリアリティを高め、観る者に「本物」であるという印象を与えた。後に忍成はインタビューで、自身が星野というキャラクターを演じたことによって、世間から大きな反響があったことを明らかにしている。

 それでも忍成は、本作に出演した経験及び、本作以降、悪役のイメージが定着したことについて、「役者冥利に尽きる」と感謝の言葉を残している。映画の登場人物に対する非難を演じ手にぶつけるのはもってのほかだが、観客をそうした気持ちに誘ったという事実は、演技に説得力があったということの証である。

『リリイ・シュシュのすべて』で演じた星野という一世一代のハマリ役を引き受けて、役者として進化を止めない忍成の今後からも目が離せない。

(文・shuya)

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【了】

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