降板トラブルの救世主…代役でブレイクした女優は?(2)体調不良で有名女優が辞退…代打で株を上げた女は?
何かと騒がしい昨今の芸能界。輝かしいスポットライトには、大きな影がつきものだ。しかし、世間を騒がす降板劇の裏で、脚光をあびる女優の姿がある。そこで今回は、降板した女優の代役を務め、作品を成功へ導いた女優を5人セレクトしてご紹介する。第2回。(文・野原まりこ)
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余命1ヶ月の女社長役を好演
板谷由夏『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018)
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で、体調不良により降板した真木よう子の代役としてキャスティングされたのが、女優・板谷由夏である。
本作は、『君の名は。』などで知られるプロデューサー川村元気と、ヒットメーカー大根仁監督のタッグによる注目作。主演の篠原涼子をはじめ、ともさかりえ、渡辺直美、広瀬すず、山本舞香といった豪華キャストが集結し、1990年代のガールズカルチャーと、現代の女性たちの人生を交差させる構成が話題を呼んだ。
板谷が演じた芹香は、末期がんにより余命1か月を宣告された女性。高校時代の親友6人に会いたいという思いを胸に、主人公を再会へと導いていく、物語の鍵を握る存在だ。ビジネスで成功を収めた強くたくましい女社長でありながら、死を前にして望むのは、かつての日常や友情。そのギャップこそが、芹香というキャラクターの人間らしさと魅力を際立たせている。
板谷は、力強さと脆さのバランスを巧みに演じ分け、物語全体の推進力となると同時に、観客にとっても感情の軸となるような人物として芹香を体現した。彼女の静かな覚悟と優しさは、作品に深みを与えている。
大根仁監督らしいポップな演出や、90年代のサブカルチャーへのオマージュも随所に散りばめられた本作は、郷愁と多幸感に包まれた青春回顧ドラマに仕上がっている。板谷由夏の起用は、まさにこの作品の厚みと説得力を担保する大きな要因の一つとなった。
(文・野原まりこ)
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