4本、ぜんぶ傑作…実写版『キングダム』“原作を超えた“神シーンは?(2)コアな原作ファンを一撃で納得させたキャストは?
漫画家・原泰久による大人気コミック『キングダム』実写化シリーズ最終章となる映画『キングダム 大将軍の帰還』が公開中だ。今回は、アクションシーンや、涙なしでは観られない仲間の死など、「原作超え」ともいえる描写を5つセレクト。キャラクターや名シーンなど、見事に再現した俳優の演技もあわせて紹介する。(文・ZAKKY)
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コアな原作ファンをも見事に納得させた心震える名シーン
王騎が信に「将軍とは何か」を教えるシーン(『キングダム2 遥かなる大地へ』)
1作目で描かれた王都奪還から半年後、秦王・嬴政は刺客に襲われるが、信により刺客は撃退される。だがそこへ魏火龍七師・呉慶(小澤征悦)率いる隣国・魏の大軍が秦へと進攻し、それを受け大将軍・麃公(豊川悦司)率いる秦軍が出陣する。
信が属する秦国と魏国との戦闘を見ながら、自軍の将軍である王騎から「猛牛を仕留めるには、いきなり頭を狙う必要はありませんからね。まず、勢いを封じるのは鉄則です」と、教えられる信。実際のやりとりを見ていこう。
信「(秦国の武将)麃公将軍たちの勢いが弱まった。突撃は、無茶だったのか!?」
信「それって…、じゃあ」
王騎「わかってきましたか? 童信、これまでの犠牲も含め、今ここにある状況はすべてあの2人の総大将が勝つために描き出したもの」(※お互いに、犠牲者が出ると覚悟とした上での戦術であった)
信「たった2人が、この、でっけえ戦を…」
王騎「童信、それが、将軍というものです」
信「将軍…天下の代将軍!」
そして、不敵な笑みから勇ましい表情に変わり、天下の大将軍になるための決意を固め、「王騎将軍、俺に馬を貸してくれ!…ください」と叫び、戦場に出ていく。
この時点では、まだ、王騎は信を手駒として使おうとしていただけかもしれないが、戦況を的確に説明し、「将軍」の戦い方を一瞬で信に諭したことで、部下である信のモチベーションを上げるやりとりとして、非常に重要なシーンとなっている。
王騎軍の副官・騰(要潤)に「随分とあの少年を気に入りましたな、殿」と言われると「あの手のお馬鹿さんは、大抵、早死にしますからねえ」とつぶやく。そして、「しかし、ごく稀に大化けする者も」という騰の返答を聞いて、王騎は嬉しそうな笑みを浮べる。
信はこの後、颯爽と戦場に出向き、勇猛な戦い方を見せるが、戦場における臨場感は、実写版ならではの迫力があることは揺るぎない事実だ。特に信の勇敢ながらどこか楽しそうな笑みをみせる「武人」としての表情には、鳥肌が立つ。
このアクション描写をことさら際立てることに一役買ったのが、王騎が信に戦況を的確に説明し、「将軍」の何たるかを一瞬で叩き込んだ重要なシーンであることは言うまでもないだろう。
今作で実はそれほど出番は多くないものの、この一連のシーンで大沢たかおは、王騎の再現度に一抹の不安を抱いていたコアな原作ファンをも見事に納得させてみせた。
(文・ZAKKY)
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