5. シンプルに泣ける
普通だったら、放火の犯人が分かったら、警察に突き出し、慰謝料をがっぽりもらってやろうと思うものだが、杏子の願いはただ一つ「母に謝ってほしい」それだけだったのだ。
母親は悪くないんだと、母を救ってやりたいという一心で、心底憎んでいる相手の言うことをなんでも聞いて、身を削り耐え抜く杏子。母親への深い愛がないとできない所業だ。
また妹の柚子が、何度も断っているのに、「何か手伝わせて」と勝手な行動をとったことで、真希子に作戦がバレてしまう一幕も。そんな時も一切攻めずに柚子を抱きしめ、妹を守る。芯が強く愛情深い杏子の姿に観る者は涙腺を刺激される。
そんな杏子が憎む真希子にも、愛がある。引きこもりの長男・希一を海外に飛び回る商社マンと嘘をついているが、これは見栄を張るためだけではなく、外に出ることのできない希一を世間の目から守るためだった。
そもそも引きこもりになった原因は真希子にあるのだが、それでも自分がずっと面倒を見ると覚悟を決めている。
空回りする真希子の愛情に希一はうんざりしているのだが、これも真希子なりの愛なのだ。そして物語が終盤になるにつれ、真希子の深い愛が明らかになる。
衝撃の真相はぜひ実際に自身の目で確かめてほしい。
(文・會澤奈津美)
【関連記事】
LGBTQ描写に賛否…なぜ海外を席巻? Netflix『サンクチュアリ -聖域-』が普遍的な傑作となった5つの理由を考察
バツ3ライターが考察する“圧倒的な魅力”とは…? Netflix『離婚しようよ』、宮藤官九郎の脚本が共感を集めるワケ
中毒者続出…”圧倒的な面白さ”の秘密とは…? 『バチェラー・ジャパン』の魅力を徹底考察。海外版との違い、楽しみ方も解説