世間に衝撃を与えた伝説の「結婚引退会見」

山口百恵・三浦友和

三浦友和
三浦友和【Getty images】

 憂いのある眼差しに哀感たっぷりの歌声、そして凛とした佇まい―。昭和を代表するアイドル山口百恵は、デビューから引退に至るまで、全てが伝説だった。

 1972年、『スター誕生!』(日本テレビ系)への出演をきっかけに芸能界入りの切符を掴んだ山口は、翌年、和田アキ子主演の映画『としごろ』(市村泰一監督、1973)で女優デビュー。同時に歌手としてもデビューし、以降、映画にドラマに歌にと、あらゆるジャンルでヒットを飛ばしまくった。

 そんな山口が世間をあっと言わせたのは、デビューから7年が経った1980年3月7日のことだった。『伊豆の踊子』(1974、西河克己監督)で共演を果たし、かねてより熱愛が噂されていた三浦友和との婚約を発表したのだ。

 しかもメディアに会見の告知がされたのは、なんと会見の2時間前。メディア各社は、取るものもとりあえず、会場の東京プリンスホテルに集まった。

 純白のドレスに身をつつみ、金屏風の前で結婚指輪を見せる山口。その姿はなんとも微笑ましく、会場はなんとも幸せそうなムードに包まれる。しかし、程なくして、山口の口から、誰もが予想だにしない衝撃的な発言が飛び出す。

「11月15日の挙式以降は、お仕事は全面的に引退させていただきます」

 そして、引退の10日前となる1980年10月5日。日本武道館でファイナルコンサートの舞台に立った山口は、「本当に…私のわがまま、許してくれてありがとう。幸せになります」と言い残し、涙ながらに名曲「さよならの向こう側」を熱唱。続いてステージ中央にマイクを置き、観客に「約束なしのお別れ」を告げて一人舞台裏へと姿を消したのだった。

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