世間の注目を一斉に集めた国民的スター同士の恋
松田聖子
1980年のデビュー以来、芸能界の一線を走り続けてきた永遠の歌姫、松田聖子。歌謡界のみならず、日本のJ-POP界を代表する彼女は、数多くの男性と浮き名を流してきた女性としても知られている。とりわけ有名なのは、郷ひろみとの熱愛だろう。
芸能界デビュー以前から郷の大ファンだったという松田は、レコード会社が同じだったことから郷に急接近。デビュー翌年の1981年には、早くも複数のスポーツ紙が結婚を書きたてはじめ、世間の公然の事実となっていく。
しかし、世間の声とは裏腹に、いつまで経ってもゴールインの報はなかった。そんな折、「松田聖子が緊急記者会見を開く」という一報がマスコミ各社に届いたのは、1985年1月のことだった。いよいよ結婚か―。そう直感し、東宝の砧スタジオに殺到する記者たち。しかし、松田は、開口一番、誰もが予想しなかった言葉を発する。
「好きで愛し合って別れるんだから…もし、今度生まれ変わってきたときは絶対に一緒になろうねって、言ったんですけど…」
号泣しながらたどたどしく言葉を紡ぐ松田。つまり、結婚会見だと思っていた会見は、実は破局会見だったのだ。想像の斜め上を行く展開に戸惑う記者たち。しかし、「憎しみ合うのではなく、愛し合って別れるのだから」という言葉は、2人の気持ちがまだ繋がっていることを示していた。
ところが、ここからさらに事態は二転三転する。記者会見から1カ月も経たないうちに、今度は松田と神田正輝との熱愛が発覚。あっさりゴールインまでこぎつけたのだ。この会見が行われた砧スタジオでは、ちょうど松田の主演映画『カリブ・愛のシンフォニー』(1985)が制作されており、出演者には、神田自身も名を連ねていた。
なお、一杯食わされた郷は、会見の4か月後に行われた『サンデー毎日』での悠木千帆(後の樹木希林)との対談で、「絶対に一緒になろうね」という言葉は聞いていなかった、と語り、悠木と次のように会話を交わしている。
郷:まさか女というのはそういうものじゃない、と思ってたでしょ。だから、なんか訳がわからなくなっちゃった。
悠木:ハハハ、よくある話、ですよ。それがオンナ、なんでね。