ホーム » 投稿 » ドラマ » 斎藤工”進平”の最期が辛すぎる…次回予告で流れたセリフの意味とは?『海に眠るダイヤモンド』第7話考察レビュー

斎藤工”進平”の最期が辛すぎる…次回予告で流れたセリフの意味とは?『海に眠るダイヤモンド』第7話考察レビュー

text by 苫とり子

神木隆之介主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』が放送中。本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語だ。今回は、第7話のレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

——————————

【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

端島の終わりが近づく…。

『海に眠るダイヤモンド』第7話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』第7話 ©TBSスパークル/TBS

『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)第7話のサブタイトル「消えない火」は、ダブルミーニングになっていた。1つは、1964年の端島で起きたガス爆発による坑内火災だ。一平(國村隼)をはじめ、数人の炭坑夫が爆発に巻き込まれ、命こそは助かったものの、大怪我を負った。

 すぐに海水による消火活動が行われるも鎮火せず、火元の酸素を遮断するために土嚢による密閉消火へ移行。作業は安全を考慮して有資格者のみで行われることになり、その先頭に立っていたのが進平(斎藤工)だった。

 進平が前向きな士気を高め、炭坑夫たちが懸命に作業にあたる中、再び爆発が発生。多くの負傷者を出し、炭鉱長である辰雄(沢村一樹)は深部区域の水没放棄という苦渋の決断を下した。

 それは端島で暮らす人たちが生活の要を失うことを意味する。炭坑夫たちは仕事を失えば、その家族はもちろん、彼らが利用する食堂やクラブだって経営が立ち行かなくなるのだから。それだけじゃない、端島の人々にとって炭坑は自分という人間を支えるアイデンティティそのものなのだ。

 辰雄がそれを“捨てる”という判断をしたのは、前年に450人もの死者を出した三池炭鉱の事故があったというのもあるが、それ以上にあの忌まわしい戦争を経験しているのが大きいのだろう。上に立つ人間が安全地帯から国民を扇動し、多くの人々が“お国のため”に自らの命を捧げたが、結果的に日本は敗戦し、深い悲しみだけが残った。

 戦争は終わったが、全体のために個を犠牲にする体質そのものは“企業”へと引き継がれたことが辰雄よりも上の人間の楽観的な姿勢に現れている。

 それを押して、命を守ることを優先したのが戦争で1人も子供を失わなかった、なおかつ端島を嫌っていた辰雄というところに、とても意味があるように思えた。以前の辰雄なら、会社の利益のために端島の人間を犠牲にしたっておかしくはない。だけど、戦争で大切な人を失う苦しみも端島を愛する心も、一平(國村隼)が教えてくれたから、辰雄は自分が責められることを覚悟の上で、島民に代わって辛い決断を下したのだ。

1 2 3
error: Content is protected !!