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映画史に残る天才詐欺師が集結…。最も面白い詐欺師映画5選。 あらゆる手口の詐欺に騙される痛快な作品をラインナップ

text by 編集部

詐欺は日常に潜んでいる。手を替え品を替え心の隙間に入り込もうとしてくるので、油断は禁物だ。しかし映画の中で起こることは全てフィクションなので、脚本に騙され、役者の芝居に裏切られることを楽しんでほしい。「自分は騙されない」と高をくくっていると、足をすくわれてしまう傑作詐欺映画を5本紹介する。

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狙うはナチスが強奪した美術品
美男美女の詐欺師コンビが大活躍

『モネ・ゲーム』(2012)

PJ役のキャメロン・ディアス【Getty Images】

原題:Gambit
製作:アメリカ
監督:マイケル・ホフマン
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
キャスト:コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン、スタンリー・トゥッチ、伊川東吾

【作品内容】

学芸員のハリー(コリン・ファース)はモネの名画のレプリカを、大金持ちに売りつける詐欺を思いつく。相棒のPJ(キャメロン・ディアス)が絵画の所有者に成り済まし、ハリーは億万長者のシャバンダー(アラン・リックマン)を標的にする。しかしPJが次々とトラブルを起こし、シャバンダーが別の絵画鑑定士を呼んだことで、盤石のはずだった詐欺計画はほころびを見せはじめ…。

【注目ポイント】

第二次大戦中の1933年から1945年にかけて、ナチスがヨーロッパ各地で略奪した絵画、彫刻、タペストリーなどの美術品は60万点以上にものぼり、戦後80年が経とうとしている現在でも10万点以上が行方不明だという。

大戦後、ナチスが略奪した美術品の多くはヨーロッパ各国に所有権が認められ、各地の美術館で飾られている。しかし、元の所有者や遺族が返還を求めても、戻ってきたのはその一部だけだ。中には、さほど高価でもない美術品を取り戻すために全財産を投げ打つ者もいるという。また、こうした状況を利用した詐欺事件も後を絶たない。

本作は、1966年に公開された映画『泥棒貴族』マイケル・ホフマン監督によるリメイク作品だ。細かいキャラクター設定は異なるものの、詐欺師がバディを組み、ナチスが強奪した美術品を利用して、贋作を用意し、資産家から大金を巻き上げるというストーリー展開は同じだ。

メディア王で、印象派絵画のコレクターでもあるライオネル・シャバンダー(アラン・リックマン)は、日本人コレクターのゴウ・タカガワ(伊川東吾)との競り合いの末に、印象派の巨匠クロード・モネ(1840~1926)の2連作『積み藁』の一つ『積み藁・夜明け』を落札して以来、その対になる作品であり、ナチスに強奪されたという『積み藁・夕暮れ』を探している。

一方で、ハリー・ディーン(コリン・ファース)はキュレーター(鑑定人)として、シャバンダーの下で働いていたが、彼の横柄さに辟易していた。ハリーは、知人の退役軍人ネルソン少佐が描いた贋作の『積み藁・夕暮れ』を利用して、シャバンダーから大金を巻き上げることを計画する。

ナチスは『積み藁・夕暮れ』を強奪した後、組織のナンバー2であるヘルマン・ゲーリングの別荘に飾られていたが、パットン将軍率いる連合軍第一師団による攻撃を受けた後、行方不明になっていた。

ハリーは、この時に陣頭指揮を取ったプズナウスキー軍曹の孫娘でカウガールのPJ・プズナウスキー(キャメロン・ディアス)を仲間に加え、もっともらしいバックストーリーを捏造してシャバンダーを信用させ、贋作を掴ませると、だまし取った大金を手に逃亡しようするも、簡単に計画は進まず、ドタバタ劇の末に、目論見は頓挫してしまう。

コーエン兄弟が手がけた脚本は、史実とフィクションを濃密に交差させつつ、詐欺師映画ならではのゾクゾクするようなスリルをしっかりと感じさせ見事だ。主人公のハリーとバディを組むPJ役には、2014年に出演した作品以来表舞台から姿を消し、2022年に8年ぶりの俳優活動復帰を宣言したキャメロン・ディアスが務め、心地良いまでの“ゲス女”を快演している。

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