『119 エマージェンシーコール』第8話考察。清野菜名&佐藤浩市のやり取りに心震えたワケ。公式Xに見る本作の真摯さとは?【ネタバレ】
text by 西本沙織
清野菜名主演の月9ドラマ『119 エマージェンシーコール』(フジテレビ系)が現在放送中。本作は、消防局の通信指令センターを舞台に、消防車の出動を指令する指令管制員(ディスパッチャー)のリアルを描く。今回は、第8話のレビューをお届け。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
声が繋ぐ“人生の円環”
自分を救ってくれた一言が、まわりまわってまた誰かを助ける…。『119エマージェンシーコール』第8話のテーマは、時をこえて声が繋ぐ“人生の円環”だ。
25年前の自宅火災の原因が、自分にあると告白した小夏(蓮佛美沙子)。その日誕生日だった雪(清野菜名)にプレゼントするつもりで作ったスノードームが、思わぬ収れん火災(太陽光が1点に集まることで可燃物が発火して起きる火災)をもたらした。
すべては、小夏の姉としての優しさが引き起こした事故だったのだ。
何よりショックだったのは、火事を起こしたのに何もできなかった自分自身。だが、雪が119番にすばやく連絡できたのは、以前小夏が教えてくれていたから。助かったのは小夏の“おかげ”…彼女のなかの自責の念が、くるりと形を変えた瞬間だ。
「わたしがわがまま言ったから…」「わたしが何でも叶えてあげるって言ったから…」火事の原因を庇いあう家族のシーンは、ひだまりのような温かさに溢れていた。「じゃあ、家族みんなのせいってことで…」と笑いあったとき、小夏の心に降り積もっていた重苦しい雪は、完全に溶けきったのではないだろうか。