アジア系が躍進! 第95回アカデミー賞授賞式レポート。映画『エブエブ』が作品賞をはじめ7部門を制覇
世界最高峰の映画の祭典「第95回アカデミー賞授賞式」が3月13日に開催された。作品賞には『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が輝いたほか、主演男優賞は『ザ・ホエール』ブレンダン・フレイザーが受賞。日本からは『私たちの声』出演の杏がレッドカーペットに登場した。早速、詳しい受賞結果をお届けする。
第95回アカデミー賞作品賞は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が受賞!
3月13日(現地時間は3月12日)、ロサンゼルスのドルビー・シアターで世界最高峰の映画の祭典「第95回アカデミー賞授賞式」が開催され、最多ノミネート(10部門11ノミネート)の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が前評判通りの強さを発揮し、最多7冠に輝いた。
主演男優賞は、一時期のキャリア低迷からの復活を遂げたブレンダン・フレイザー(『ザ・ホエール」)が受賞した。
授賞式は、5年ぶり3度目の司会を担当するジミー・キンメルが、『トップガン マーヴェリック』の戦闘機から降下するという演出で、パラシュートを背負って天井からステージに降りて登場してスタート。
キンメルは「暴力的行為した人には主演男優賞を差し上げます」「もし、ジョークが気に入らず、ステージに上がろうとしたらクリード(マイケル・B・ジョーダン)、もしくはミシェル・ヨーが私を守ってくれます。マンダロリアン(ペドロ・パスカル)、スパイダーマン(アンドリュー・ガーフィールド)までいますよ」と昨年のウィル・スミスによるクリス・ロック殴打事件をジョークにした。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、編集賞の最多7部門を制覇。『西部戦線異状なし』が4部門(国際長編映画賞、撮影賞、美術賞、作曲賞)で続いた。
アジア系男優の助演男優賞受賞は1985年のハイン・S・ニョール(『キリング・フィールド」』)以来28年振り史上2人目となったが、キー・ホイ・クァンは涙ながらにステージに上がり「こんなストーリー、映画でしか起こらないと言うけど、起こりました!」と感激を口にした。
そのキー・ホイ・クァンと『原始のマン』(1992)で共演しているブレンダン・フレイザーは、『ザ・ホエール』にて特殊メイクを駆使して体重272キロの主人公を熱演し、見事オスカー像を獲得。「信じられない」と涙ながらに感激を口にしていた。
主演女優賞に輝いたミシェル・ヨーは、スピーチで「私のような見た目の男の子たち、女の子たち、見ていますか?」と語りかけ「これ(受賞)は、みなさんの希望の証、夢は実現するという証です。そして、女性のみなさん、誰にも『歳を取り過ぎた』なんて言わせてはいけません。この受賞を私の母に、そして世界中のお母さんたちに捧げます。彼女たちこそがスーパーヒーローです」と訴え、喝采を浴びた。
最後に発表された作品賞のプレゼンターを務めたのはハリソン・フォード。『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』でフォードと共演しているキー・ホイ・クァンは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の受賞が発表されると、大喜びでステージ上でフォードと抱擁を交わしていた。
恒例の歌曲賞のパフォーマンスには、リアーナ(『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』/“Lift Me Up”)ら、豪華な顔ぶれが出演。女性を主人公に据えた7編からなり、日本から杏が出演した短編『私の一週間』(呉美保監督)も収められている『私たちの声』の主題歌”Applause” (作詞・作曲:ダイアン・ウォーレン/歌唱:ソフィア・カーソン)も披露された。
事前に出演が発表されていなかったレディー・ガガがサプライズで登場し、“Hold My Hand“(『トップガン マーヴェリック』)を歌い上げた。
ちなみに、歌曲賞はこの日も圧巻のパフォーマンスを見せた『RRR』の“Naatu Naatu”が受賞。インド映画の歌曲賞受賞は初の快挙となった。
このほか、インド映画『エレファント・ウィスパラー: 聖なる象との絆』が短編ドキュメンタリー賞を受賞するなど、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、監督のダニエル・クワンらの受賞とあわせて、アジア系の作品、俳優、クリエイターの躍進が目立つ受賞結果となった。
「第95回アカデミー賞授賞式」字幕版は3月13日(月)夜10:00よりWOWOWで放送・配信、3月21日(火)まで WOWOW オンデマンドでアーカイブ配信される。