大爆死!大赤字の日本映画…史上最低の失敗作5選。莫大な製作費を回収しきれなかった歴史に残る駄作をセレクト
名作と呼ばれる映画は、人々の心に刻まれ、愛され続ける。映画を製作した者にとってはこの上ない喜びであり、目指すところでもある。だが、映画も商売であり、興行収入が製作費を上回らない限り、その映画は“失敗作”になってしまう。今回は「製作費◯◯万円!」と銘打ったものの、大爆死…。今回は、そんな残念な日本映画を5本紹介したい。(文・寺島武志)
興行収入15億円を見込むもわずか3800万円…。
名作映画のリメイクは無残な結果に
『櫻の園 さくらのその』(2008)
製作国:日本
監督:中原俊
脚本:関えり香
原作:吉田秋生
キャスト:福田沙紀、寺島咲、杏、大島優子、武井咲、米倉涼子、菊川怜、上戸彩
【作品内容】
音楽学校を辞め、名門女子高に編入した結城桃(福田沙紀)は、旧校舎で「櫻の園」の台本を発見し、仲間たちと稽古をして「櫻の園」を上演しようとする。しかし11年前の問題のせいで「櫻の園」は上演禁止になっていた。教師たちは名門学校の伝統を守るために「櫻の園」の上演を阻止しようとするが、桃たちは諦めなかった。
キネマ旬報ベストテンの第一位に選出されるなど、名作の誉れ高い1990年版のリメイク作品。1990年版でメガホンをとった中原俊が監督を務めている。
【注目ポイント】
女子高の演劇部を舞台とする、1990年に吉田秋生原作の同名漫画の映画化し大ヒットした『櫻の園』のストーリーを一新して再映画化した同作。前作では、毎年、学校の創立記念日にチェーホフの「櫻の園」を上演することが学校の伝統行事だったが、同作では、ある事件がきっかけで上演が禁じられていた。主人公の結城桃(福田沙紀)は、あらゆる手で「桜の園」を上演しようと奔走するという物語だ。
具体的な製作費は不明だが、興行収入15億円を見込んだはずが、その結果はわずか3800万円。錚々たるキャストにそぐわぬ大惨敗。映画がヒットするか否かはキャストに比例しないことを、証明してしまった格好だ。主演の福田沙紀の所属事務所であるオスカープロモーションが大きく関わり、製作費を出資するだけではなく、その宣伝にも相当な力を入れていたにもかかわらずだ。
オスカーとしては自ら映像制作に乗り出した第一歩が大コケ。テレビ分野ではドラマやバラエティーで成功を収めている大プロダクションだが、映画分野では思わぬ苦戦を強いられる形となった。
約20年前の前作の続編を「10年後」の設定でリメイクする必要があったのかという疑問が拭えない。失敗の要因としては、明らかに“二匹目のドジョウ”を狙いに行ったのが透けて見え、なおかつ、同作を通じて福田沙紀をスターにしようとするオスカープロの思惑も見透かされたことによるのではないだろうか。
オリジナル版は90年代を代表する青春映画の一つである。偉大な作品のリメイクは話題を呼ぶが、その分、観客からは厳しい目を向けられる。興行的失敗という形で、リメイクの難しさを証明することになった一作だ。