実在する悪女の人生を描いた日本映画(4)。オウム信者の逃亡劇…クオリティは自主映画レベル!?
text by 編集部
サロメに楊貴妃、そしてクレオパトラ—。洋の東西を問わず、“悪女”はその美貌で男性を魅了し、男たちをその手の内で転がしてきた。しかし、よくよく調べてみると、“悪”の一言では片づけられない彼女たちなりの大義があったりする。本記事では、実在する“悪女“たちをテーマにした邦画5本を選定。彼女たちの悪の魅力を存分にご紹介しよう。今回は第4回。
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正直クオリティは…?
オウム真理教信者の逃亡生活を追ったセミドキュメンタリー
『潜伏 SENPUKU』(2013)
監督:保坂延彦
脚本:小霜和也、大石三知子、渡辺裕子
キャスト:土屋貴子、なだぎ武
【作品内容】
介護ヘルパーとして施設で働く波子は、内装工の山路と職場で知り合う。程なく同棲をはじめる二人だが、彼女がかつて無差別テロを行った新興宗教団体「カーマの家」の元信者で、指名手配中の逃亡犯の身であることが明らかになる。山路はそんな彼女を当局から守ろうとするが…。
【注目ポイント】
1980年代後半から1990年代にかけてさまざまな社会的事件を起こし、日本を恐怖に陥れたオウム真理教。本作では、信者の一人である菊地直子をモデルに、彼女の潜伏生活をセミドキュメンタリー風に描いている。監督は保坂延彦。女優の土屋貴子とお笑い芸人のなだぎ武が出演している。
17年間に及ぶ逃亡の末、2012年に逮捕された菊地。そんな彼女の半生を描くとなれば期待に胸がふくらむ御仁もたくさんおられることだろう。しかし、正直本作のクオリティは自主映画レベルの出来で、観客の共感性羞恥を存分にかき立てる作品に仕上がっている。
なお菊地は2017年に最高裁の上告棄却により無罪が確定し、現在は一般市民として生活を送っているとのこと。世間的に「悪女」とみなされていた彼女だが、実際は報道が作りあげた虚像であったということに最後に強調しておきたい。
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