海外ドラマ『ブラック・ミラー』、テクノロジーの進化とセクシュアリティを掛け合わせた前例のないSFもの。気になる内容を紹介
2011年から放送されている英国人気テレビドラマシリーズ『ブラック・ミラー』。Netflixで配信中の同作は、公開以来、テクノロジーの進化にまつわる興味深くも不穏な話を視聴者に届け、多くの関心を呼んできた。今回は6月の新シーズンを迎えるにあたり、中でも話題となったエピソードを現地のメディアを参考にご紹介する。
ドラマ『ブラック・ミラー』が描く、デジタル世界が性に与える影響とは?
ドラマシリーズ『ブラック・ミラー』が今年6月に新シーズン6を迎えるにあたり、今回はその中でも特に話題となったエピソードを振り返る。
作中では、現在よりもテクノロジーがさらに進化した近未来的な設定が描かれることが多々あるが、シーズン5エピソード1『ストライキング・ヴァイパーズ』では、テクノロジーは善でも悪でもなく、デジタル世界が性に与える影響に焦点を当てている。
主人公であるダニーとカールは、10年以上前からの親友。2人は「ストリートファイター」を模した格闘ビデオゲーム「ストライキング・ヴァイパーズ」を仲良くプレイする兄弟的存在だ。
その10年後、テクノロジーはさらに発展し、ゲーマー達はよりリアルな仮想現実を体験することができるようになる。カールはダニーへの誕生日プレゼントに、10年前によくプレイしていた格闘ゲーム「ストライキング・ヴァイパーズ」最新版をプレゼントする。
昔の2DからVRでプレイするものへとゲームは変化しており、VRアドオンを装着し、キャラクターに自らの意識を乗り移らせ、手足を自在に動かし、痛みや快感などのキャラクターの身体感覚は、自分自身のものであるかのように感じることができる。
カールはいつもロクセット(女性キャラクター)、ダニーはランス(男性キャラクター)を選択し、ゲームの世界へ入り、2人はバトルを繰り広げる。
カールことロクセットにボコボコにされるダニーだったが、乱闘の末2人はもつれ合いながら床を転がり、次第に2人の唇は近づき、衝動的にキスをして性的行為に及んでしまう。
パニックに陥る2人だが、特に妻がいるダニーは、自分が他の男と不倫しているという事実を受け入れられない。カールは女性としての快楽を体験できるようになり、彼は好奇心からその快楽を探求し始める。
現実世界とデジタル世界の間に隔たりが生じ、直接2人が会う現実世界では、互いに性的魅力を感じていないことも、物語をさらに複雑にする。ゲイでもバイセクシュアルでもない親友同士の不思議な関係は、デジタル世界から徐々に現実世界にも影響を及ぼし始める。
例えば、ダニーの妻であるセオは「以前はもっと自分を求めてくれた。ダニーが浮気をしているのではないか」と、自分を抱こうとしないことについて不満をぶつけ始める。またダニーとカール、妻のセオの3人で食事をする際には、以前より気まずい空気が漂う。
「ストライキング・ヴァイパーズ」は、架空の未来を描いたシナリオだが、現代と無関係な内容とは言えないだろう。
インターネット上で、人はなりたい自分になることが可能だ。もし匿名チャット機能を使用すれば、相手が男性か女性かといった本来の姿を想像に任せ、性的な満足を得ることができる場合もある。
この物語は今後インターネット社会で、あるいは既に現実で起きている、友人同士での性の探求について、視聴者に問うような内容となっている。
2019年以来4年ぶりとなる『ブラック・ミラー』新シーズン。次は一体どんな未来を視聴者に見せてくれるのか、期待の声が高まっている。
【関連記事】
映画『マトリックス』との共通点も…? 話題の海外ドラマ『サイロ』を徹底解説。原作はベストセラー・ディストピア小説
史上最も偉大なSF映画は…? 人生で一度は見たい空想科学映画の名作5選。映画史に残るおすすめ作品だけをセレクト
「絶対に子供と観ちゃダメ!」 21世紀最高のR指定コメディ映画10選。えげつないシーン盛り沢山…。笑える問題作をセレクト