最も“爆死”した邦画は…? 2023年上半期に公開された期待ハズレの日本映画5選。運と観客に見放された作品をセレクト
2023年も残すところあと半年を切った。今年に入って何本の映画を観ただろうか? 日本映画は是枝裕和監督の『怪物』や北野武監督『首』などがカンヌ国際映画祭で招待されたりと話題作が目白押しであった一方、期待に反して目覚ましい興行成績を残せなかった作品も。今回は、2023年上半期でイマイチな数字に終わった映画を5本セレクトした。(文・寺島武志)
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成功させるのが難しいワンシチュエーションスリラー
中島裕翔が快演を見せるもあえなく爆死
『#マンホール』(2月10日公開)
上映時間:99分
監督:熊切和嘉
原案・脚本:岡田道尚
キャスト:中島裕翔、奈緒、永山絢斗
【作品内容】
ある日、酔った弾みで落ちたマンホールの底で脱出不能になった主人公の川村俊介(中島裕翔)。翌日に社長令嬢との結婚式を控えていた。目を覚ました俊介はなんとか脱出しようとするも、落ちた拍子に足をケガしており、自力で這い上がれないだけではなく、自分がどこのマンホールに落ちたのかも、見当がつかなかった。
片っ端から仲間に連絡しますが誰も出ず、唯一、電話に出てくれたのは、元カノの工藤舞(奈緒)だった。舞に事情を説明し、捜索をお願いする俊介だが、送った地図を頼りに探しても、俊介が落ちた穴は見つからず、さらに、警察にも相手のされない始末…。
果てはSNSも使って、ネット民に助けを求める俊介だが、そうこうしているうちに、マンホールの中で腐乱死体を発見する。その死体の正体も含め、サスペンスに満ちたストーリーが進行し、恐怖のラストを迎える。
【注目ポイント】
脚本を担当したのは、『マスカレード・ホテル』(2019)、『マスカレード・ナイト』(2021)、『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』(2010)などで知られるヒットメーカー・岡田道尚。主演にHey!Say!JUMPの中島裕翔、監督に熊切和嘉を迎えて製作されたサスペンススリラーだ。
作品冒頭で「ネタバレ禁止」と告知するなど、非常に手の込んだ岡田の仕掛けで、中島も“ワンシチュエーション”という難しい設定の中、怪演を見せているが、蓋を開けてみると興行的に伸び悩み、興行収入は約6000万円と爆死。
鑑賞者の声に耳を傾けてみると「グロテスクで汚い」「ミステリーとしての脚本が甘く、ツッコミどころだらけ」といった声も多く聞かれる。
また、Hey!Say!JUMPの現役メンバーであり、テレビドラマなどで活躍する、役者として売り出し中の中島裕翔に、あえてこの汚れ役を演じさせる必要性があったのかという疑問の声も。
加えて、本作に主要キャストとして出演していた永山絢斗が、大麻取締法違反で逮捕され、ミソをつけてしまった格好に。脚本、演出、演者が総力を挙げて、難しい設定を見応えのある映画にしようと奮闘しているものの、不運さが際立つ作品だ。