隠されたトリビアが明らかに! 映画『Pearl パール』、劇中に登場するスタッグフィルムやパールの相棒の名の由来とは?
映画スタジオA24製作が贈る、悪魔的な女性シリアルキラーが主人公の映画『Pearl パール』。同作のヒットを記念し、この度同作にまつわる複数のトリビアが公開された。劇中に登場する、現存する初期のスタッグフィルムから、パールの相棒ワニ「セダ」の名付けの由来などを一挙ご紹介する。
絶賛公開中の映画『Pearl パール』にまつわるトリビアを公開!
『ミッドサマー』を手掛け、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が第95回アカデミー賞で部門を受賞し話題の映画スタジオA24が贈る最新作『Pearl パール』が絶賛公開中だ。
スクリーンの中で踊るスターの華やかな世界に憧れる主人公パール。人里離れた農場で、厳格な母と体が不自由な父に育てられた彼女の愛への渇望が、夢を育み、両親からの異常な愛が、その夢を腐らせていく……。
やがて、籠の中の無垢なる少女が抑圧から解き放たれたとき、比類なき無邪気さと残酷さをあわせもつシリアルキラーが誕生する……。
夢見る少女は、いかにして無慈悲かつ凶暴なシリアルキラーへと変貌していくのか――?悪魔的(デモニッシュ)な魅力で世界を虜にした、映画史上、もっとも無垢なシリアルキラー“パール”が誕生!
「オールタイムベストホラー」「最後のショットで鳥肌」「ミア・ゴスの顔芸すごい」など、SNSでも絶賛、そして映画愛に溢れたさまざまな考察合戦も繰り広げられている本作。
この度、ヒットを記念して、これを知るともっと楽しめる『Pearl パール』トリビアの一部を大公開する。
1:ファンタジー・ミュージカル『オズの魔法使』へのオマージュ
魔法の国<オズ>に迷い込んだ少女(ジュディ・ガーランド)が主人公のクラシックなファンタジーミュージカル『オズの魔法使』(1939)。
ホラーとファンタジー、一見すると共通項の無さそうなジャンルだが「テクニカラー」「案山子」「トウモロコシ畑」「主人公は現実を超えた素晴らしい場所がどこかにあると信じる若い女性」「上映時間が共に102分(『オズ〜』は一部101分という表記もあり)」など、『Pearl パール』との多数の共通項が指摘、タイ・ウェストは映画のトーンを決める準備をする上で、主演ミア・ゴスに観ることを薦めたと明かしている。
パールが着るドレスと彼女が自転車で駆けるシーンは『オズの魔法使』のミス・ガルチへのオマージュか。
2『何がジェーンに起ったか?』
タイ・ウェスト監督がミア・ゴスに鑑賞を薦めたもう一本の作品が、ロバート・アルドリッチ監督のサイコスリラー『何がジェーンに起ったか?』(1962)。
子役で一世を風靡したジェーンと遅咲きで女優としてブレイクしたブランチの姉妹は、ブランチが事故で下半身不随になって以来二人きりで過ごしていたが、過去の栄光を追うジェーンに次第に奇行が目立ち始め、姉を監禁してしまう。
女性主人公が女優としてのスターダムに憧れ、正気を失っていくという点でも『Pearl パール』がインスピレーションを受けた作品の一本。
3: パールの長き相棒!? ワニの「セダ」ちゃん
爬虫類の寿命は30年から50年と言われており、70年生きるケースもあるそうで、パールの長きにわたる相棒!?と思われる、Xシリーズのマスコットのワニの名前は「セダ」。
この名前の由来は、サイレント映画期の人気女優の一人で、最初のセックス・シンボルといわれる、セダ・バラ(Theda Bara)。
パールが父の薬を買いにでかけた街の映画館に貼られているポスター、J・ゴードン・エドワーズ監督の『シーザーの御代』(1917)の主演女優がセダ・バラ。
13年間で44本の映画に出演した彼女は、サウンド・フィルム(トーキー)作品に出演することなく1926年に女優業を引退。(出演作の多くのフィルムが1937年の火事で焼失し現存する作品はほぼない)。
4:現存する初期のスタッグフィルム『A Free Ride』
劇中パールが鑑賞しているのは架空のミュージカル映画『パレス・フォーリーズ』。実際1918年はまだサイレント映画の時代。
ここで映し出されるものは精神状態が不安定なパールの想像の中だけで鳴っているサウンドと音楽という解釈もできる。なおパールが入った映画館で冒頭に上映している作品は、J・J・クラーク監督の短編西部劇映画『Gene of the Northland』(1915)で実在する作品。
そして、映写技師が、パールに見せる映画も実在する『A Free Ride』という作品で、1915年に公開されたサイレント期の初期のスタッグフィルム(ポルノ映画の一種)。
5:1918年
『Pearl パール』の舞台となる1918年は、第一次世界大戦が終結した年。またスペインかぜが流行し、1920年に収束するまでに世界で5億人が感染したと言われる。
タイ・ウェスト監督とミア・ゴスが、コロナ禍の隔離期間中に、『Pearl パール』の脚本を書き上げたことが、大きく関係していると監督も語っている。
【作品情報】
監督:タイ・ウェスト
脚本:タイ・ウェスト、ミア・ゴス
出演:ミア・ゴス、デヴィッド・コレンスウェット、タンディ・ライト、マシュー・サンダーランド、エマ・ジェンキンス=プーロ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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公式HP:happinet-phantom.com/pearl/
原題:Pearl|2022年|アメリカ映画|上映時間:102分|R15+
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