「イタすぎる女たち…」”こじらせ女子”の恋愛日本映画(4)。男性経験ゼロなのに…泥臭い女のリアリティ
恋愛映画には、運命の出会いやドロドロの三角関係などを描いた様々な作品がある。映画でしか味わえない展開も捨てがたいが、実際に自分が経験したことがありそうなリアルな内容は共感を生む。今回はリアルすぎて共感性羞恥を味わえる作品を5本紹介。比較的女性目線が多い恋愛映画だが、今回紹介する作品の中には、男性目線の作品もあり必見!
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こじらせ女子の泥臭い恋
コミカルとシリアスを使い分けたテンポよい作品
『勝手にふるえてろ』(2017)
原作:綿矢りさ
監督:大九明子
脚本:大九明子
出演:松岡茉優、北村匠海、渡辺大知、、石橋杏奈、趣里、前野朋哉、古舘寛治、片桐はいり
【作品内容】
恋愛経験のないOL・ヨシカ(松岡茉優)は同期の「ニ」(渡辺大知)からの突然の告白にテンションがあがるがいまいち乗り切れず、中学時代から片思いしていた「イチ」(北村匠海)に会うため同窓会を計画。そしてふたりは再会するが….。
『でーれーガールズ』の大九明子が芥川賞作家・綿矢りさによる同名小説を映画化し、『万引き家族』の松岡茉優、『君の膵臓をたべたい』の北村匠海が共演。2017年・第30回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、観客賞を受賞した。
【注目ポイント】
松岡茉優演じる主人公・ヨシカはいわゆる“こじらせ系女子”。コミュ障で妄想ばかりしており、物語の大半はその妄想の内容が占めている。
妄想の中でのヨシカは饒舌で観ていて恥ずかしくなる程のイタい女子だが、テンポがよくミュージカル要素もあり、暗転後のギャップにも驚かされ、飽きさせない作品となっている。
ヨシカの言動は恋愛に奥手な人が共感しすぎて、観ていられなくなるほどリアル。例えば、同窓会で中学から好きだった「イチ」と繋がりたくて、様々なアクションを起こすがその度に空回りして周りをしらけさせてしまったり、同僚である「二」に男性経験が0人であることがバレ、いたたまれなくなり、職場に妊娠したと嘘をつき仕事を辞めてしまったりと綺麗事ばかりを描いてない。
従来の恋愛映画のヒロインとは一線を画する、泥臭いキャラクターを見事に演じる、松岡茉優の芝居に拍手を送りたくなる一本だ。
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