「強さも弱さも持っているのが人間」映画『Threads of Blue』主演・佐藤玲インタビュー。本作への想い語る
現在絶賛公開中の映画『Threads of Blue』。『フェイクプラスティックプラネット』の宗野賢一が監督・脚本・編集として作り上げた「夢で見た未来の事故はもうですでに起こっている…」という、摩訶不思議なストーリー。主演を務めた佐藤玲さんに、今作への意気込み・役作りなどを語っていただいた。(取材・文/ZAKKY)
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【ストーリー紹介】
あるマンションの一室で、老婆が炎上する車の絵を描いていたのと、時を同じくして山中にて交通事故で家族を失ってしまう夢を観た縁(エン)。そのあまりにリアルな夢から、数日後に予定している家族旅行の行き先が、とある山であることに危険を察する。そして、隣人の百合子から、縁が夢で見た交通事故は既に起こった出来事だと、謎の助言を受けるわけだが…。
「強さも弱さも持っているのが人間」
役に込めた思いとは
―――映画を拝見させていただき、この後の展開は、何がどうなっていくのだろう?といった、淡々とした恐怖を感じました。
「縁というキャラクターは、なんとなく未来が見えているのに、実際その未来に進むと、さらに分岐点があったりするわけです。でも、あまりそういった場面ではっきりとわかりやすい表情の違いなどを持たせないという、難しい役柄ではありましたね。何て言うか、縁の行先にグラデーションを持たせつつ、1人の人物を演じるとでも言うか」
―――確かに、言い方が悪いかもしれませんが、ややこしい役柄だったと思うのですが、演じ切った佐藤さんに感嘆いたしました。
「ありがとうございます。あと、役作りで言えば、キャラクターの持っている寂しさだったり、その反面の力強さは意識しましたね。誰だって、強さも弱さも持っているのが、人間なわけで、縁の中でその部分を共存させながら表現しなければいけないと」
―――非常に納得いたしました。宗野賢一監督と、話し合ったことはありますか?
「縁というキャラクターが、主人公なので当然なのですが、彼女を通して物語の流れの中で、どういった起承転結を生み出すか? 心情の変化がどのように成されていくのだろう?ということは、話し合いましたね」
―――縁は、基本的には内面的な心情で動いている人物だと。
「そうですね。縁が何か大きな壁に対峙していく場面の姿勢に関しては特に、監督とすごく丁寧に話し合いました」
―――各キャラクター像、ストーリー展開、全て含めて映像としても飽きさせない作りですよね。
「嬉しいですね! この作品全般に散りばめられたギミックを駆使し、『映画』という装置を使って展開していくアトラクションとでも言いましょうか。ただ単に物語が面白いだけではなく、実際に演じて撮影したらどうなるか? どんな風景が見えるのか?という青写真が、脚本を読んだ時点でイメージできましたね。
あと、映画『TENET』(2020)のように、劇中で描かれている地形なども、映像としての面白さとして、脚本を読んで想像できたんですよ。そういった部分も企画段階からすごく丁寧に作られていたんだなと」