名曲「summer」のモデルとは…? 実は深いタイトルの意味は? 映画『菊次郎の夏』考察。子役・正男の現在&演出も解説
text by 編集部
映画『菊次郎の夏』を、あらすじ(ネタバレあり)演出、脚本、配役、映像、音楽の項目で解説。北野版「母をたずねて三千里」とも言えるロードムービー。テーマ曲は日本の夏を象徴する久石譲「summer」。遊び心満載の本作は面白い? つまらない? 魅力と結末を多角的な視点で深掘り。<あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー>
『菊次郎の夏』あらすじ
小学三年生の正男(関口雄介)は、浅草の人形焼屋で休みなく働く祖母(吉行和子)と二人暮らしをしている。父は正男が幼い頃に亡くなり、母は遠くの町で働いていると祖母から聞いていた。夏休みになると、友達は家族旅行に出かけ、正男は独りぼっちになってしまった。
そんなある日、母の写真を見つけた正男は衝動的に、豊橋に住んでいるという母に会いに行こうと決意する。わずか2千円を握りしめて家を飛び出した正男だったが、すぐに不良グループの目をつけられてカツアゲされそうになってしまう。
だが祖母の友人でスナックを経営しているおばさん(岸本加世子)が、不良を追い払うと、正男がどこへ行こうとしていたのか尋ねた。正男が母親に会いに行くと知り、子ども一人では危険と判断したおばさんは自分の旦那の菊次郎を付き添わせることにした。
さっそく2人で出発することになったが、菊次郎は素行が悪いチンピラだ。正男を母親の元へ案内すると思いきや、競輪場へ行き、自分のお金を使い果たすと正男のお小遣いにまで手をつけてしまった。だが、正男が偶然言った数字が当たり大勝ちすると、菊次郎は儲かったお金で豪遊した。気を良くした菊次郎は次の日も正男に予想させようとするが、幸運は続かず、賭けに負けてしまうのだった…。