ワールドクラスの才能! 世界に誇る現役最高の日本人俳優(4)史上最高の俳優は? 誰もが敬服する真の名優
“日本のエンタメはレベルが低い”いつからかこんな不名誉な言われ方をするようになってしまった日本の映画業界。しかしそんな中でも、世界で活躍する才能ある日本人は存在するのだ。彼らの姿は我々に感動をもたらし、日本も世界で闘えるという勇気を与えてくれる。今回は世界で活躍する日本人俳優を、5人セレクトして紹介する。
———-
疲れた顔ににじみ出る娘への思いを表現
役所広司『バベル』(2006)
出典:Amazon
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、スティーブ・ゴリン、ジョン・キリク
出演:ブラット・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ベルシア・ベルナル、役所広司、菊地凛子、アドリアナ・バラッザ、エル・ファニング、二階堂聖、ネイサン・キャンブル、マイケル・ペーニャ
【作品内容】
モロッコで暮らす兄弟は、父親の猟銃を持ち出して試し撃ちしていた。そこへ通りかかったバスに向けて発砲した。
その弾は、夫婦関係を修復するためにモロッコに旅行に来ていたアメリカ人のジョーンズ夫妻の妻のスーザン(ケイト・ブランシェット)に当たってしまう。夫のリチャード(ブラッド・ピッド)は慌てて止血を試みるが、なかなか血は止まらなかった。
一方、日本では耳が聞こえない娘・チエコ(菊地凛子)と2人暮らしをするヤスジロウ(役所広司)の元へ、警察が訪ねてくる。
【注目ポイント】
出演する数々の作品が大ヒットし、その度に多くの賞を獲得する俳優・役所広司。国内ではその名を知らないものはいないと言っても過言ではない。
他にもカンヌ国際映画祭で最高賞となるパルムドールを受賞した今村昌平監督映画『うなぎ』(1997)や、同映画祭で国際批評家連盟賞とエキュメニック賞を受賞した青山真治監督映画『EUREKA ユリイカ』(2001)など、世界的に高い評価を得た作品に出演し、一躍、日本を代表する役者に。
その後、国内で精力的に活動するかたわら、海外進出も果たし、映画『SAYURI』や『シルク』などに出演。いずれの作品でも、深みのある芝居が高く評価された。
2006年カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した本作は、モロッコ、アメリカ、日本と3つのパートに分かれており、役所は日本パート出演。その役どころは、妻を亡くし、耳が聞こえない反抗期の娘の父親。出番としてはそう多くはないものの、少ないシーンでも重厚な存在感を発揮している。
映画『ガマの油』を監督するなど、演出家としての顔を持つ役所の芝居の素晴らしいところは、作品全体を俯瞰した的確な演技。娘役の菊地凛子を車で送り届けるシーンでは、「愛してるよ」と娘に言うと台本にあったが、日本人の親子間でそのような言葉を使うのはリアルではないと感じた役所が、愛を含んで「気をつけて」というセリフに変更することを提案したそうだ。
この役所の芝居にはアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督も賛辞を贈り、才能を引き出したり、どのように演出したりするのかを考えるのが楽しかったと語っている。
そして、巨匠・ヴィム・ヴェンダース監督作であり、日独共同制作の映画『PERFECT DAYS』では、第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。日本人俳優としては、是枝裕和『誰も知らない』で史上最年少・14歳で同賞を獲得した柳楽優弥以来、2人目の快挙を達成した。
【関連記事】
ワールドクラスの才能! 世界に誇る現役最高の日本人俳優(1)
ワールドクラスの才能! 世界に誇る現役最高の日本人俳優(5)
ワールドクラスの才能! 世界に誇る現役最高の日本人俳優(全紹介)