期待外れの大コケ映画は…? 2023年の大失敗映画(5)可愛い映画のはずが…下品な下ネタ炸裂に観客ドン引き
今年最も話題となった映画は、宮崎駿の『君たちはどう生きるか』ではないだろうか。他にも『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『ゴジラ-1.0』など、コロナ禍も明けて再び映画の勢いが復活した年であった。一方、期待はずれだった作品もある。今回は大コケした海外映画を5本セレクト。その理由についても解説する。(文・市川ノン)
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可愛い映画かと思ったら…
下品な下ネタ炸裂に観客ドン引き
『スラムドッグス』
上映時間:93分
監督:ジョシュ・グリーンバウム
脚本:ダン・ペロー
出演者:ウィル・フェレル、ジェイミー・フォックス、アイラ・フィッシャー、ランドール・パーク、ウィル・フォーテ
【作品内容】
捨てられた犬が、野良犬たちとともに、飼い主に復讐するコメディ映画だ。
レジーはろくでもない飼い主のダグに、ある日遠い場所に連れられ、捨てられてしまう。捨てられたことに気づかないほど純粋だったレジーは、野良犬界のドンであるバグに出会い、ダグの最低さに気付かされる。そして、レジーは野良犬とともに「ダグの股間を食いちぎる」という復讐を決意するのだった。
プロデューサーは「スパイダーマン スパイダーバース」「LEGO ムービー」「コカイン・ベア」のフィル・ロード&クリストファー・ミラーが務めている。
【注目ポイント】
今作は、製作費4600万ドルに対し、北米興行収入2200万ドル、世界でも3000万ドルほどとまったくふるわなかった。その後、公開された日本でも初週のみのランク入りにとどまっている。
日本語吹き替え版では、レジー役にお笑いトリオ、ロバートの秋山竜次、バグ役に声優の森久保祥太郎、マギー役にタレントのマギー、ハンター役に声優・俳優の津田健次郎など豪華配役だったが、見事に爆死。
子どもや女性に人気のある人物を起用し、動員をかけたかったのだろうが、作中で犬たちが発するドギツイ下ネタやFワード満載の内容では彼らは劇場に足を運びずらい。そもそも、PG 12指定を受けているのだが、実際の観客の声でも「かわいらしい犬の映画だと思ったら下ネタが凄すぎて引いた」「家族で見に行って気まずくなった」などの意見があがっている。
かわいらしいキャラクターがブラックジョークや下ネタを連発する映画といえば「テッド」が思い浮かぶが、こちらの吹き替えキャスティングは主人公テッドに有吉弘行をあてるなどターゲットと作品内容に乖離がない。今作は、完全なミスマッチだった。
と、日本の制作サイドの問題を述べてきたが、そもそも北米でも大爆死するほどの出来であるため、声優を変えたところで日本でのこの結果も必然だったに違いない。「作中の犬の映像の95%は本物」とジョシュ・グリーンバウム監督が話していたが、リアルすぎる犬たちの下ネタは、多くの犬好きにとってノれない点があったのかもしれない。
(文・市川ノン)
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