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映画史上最も美しい…最高の感動を呼ぶ同性愛の名カップル(1)悲しみと希望…紳士と純白の青年の完璧な傑作

text by 編集部

近年日本では”LGBTQ”セクシャルマイノリティを取り上げる映画やドラマが増えている。しかし海外では、子供を持った男性同士のカップルは10年以上も前から様々な作品で描かれ、お茶の間に浸透している。そこで今回は、海外の映画やドラマ作品に登場する同性愛カップルの中でも、名カップルとして名高い5組を紹介する。

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悲しみに暮れた紳士と純白な青年

ジョージ&ケニー『シングルマン』(2009)

上映時間:101分
原題:A Single Man
製作国:アメリカ
監督:トム・フォード
脚本:トム・フォード、デヴィッド・スケアス
キャスト:コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、マシュー・グード、ニコラス・ホルト、ジョン・コルタジャレナ、ジニファー・グッドウィン、テディ・シアーズ、ポール・バトラー、アーロン・サンダーズ、ケリー・リン・プラット

【作品内容】

世界的ファッションデザイナー、トム・フォードが監督を務める映画『シングルマン』。

本作は、第82回アカデミー賞主演男優賞ノミネート、ヴェネチア国際映画祭最優秀主演男優賞受賞、各国主要映画賞14部門受賞、23部門ノミネートなど、世界の様々な映画祭で脚光を浴びた映画だ。

主演は映画『キングスマン』でもお馴染みのコリン・ファース。そんなコリンが演じるのは、大学で文学を教えるジョージ。

ジョージは、最愛の恋人ジムを交通事故で失う。彼は日に日に深くなるその悲しみの日々を、自らの手で終わらせることを決意する。しかし、彼が送ると決めた最後の1日は、憎くも何処か美しく見え始める…。

【注目ポイント】

コリン・ファース(左)、ニコラス・ホルト(右)
コリンファース左ニコラスホルト右Getty Images

今日という1日を無事に終わらせ人生に終止符を打つと決めたジョージ。彼がそれ決意をした日、何故か彼の元とへと美男子たちが集う。その一人が、大学での最後の授業を終え家に戻ろうとするジョージの前に現れるケニー(ニコラス・ホルト)だ。

ケニーはジョージの講義を受けた際に、ジョージの些細な異変に気が付く。「あなたが心配で」とジョージに近寄るケニーは、白い服に青い瞳。若く、イノセントな美男子。このケニーという存在はジョージにとって、彼の新しい人生を期待させる。

本作に登場するこの2人は、LGBTQ映画作品の中でもかなり独特な関係と言える。原作はイギリスの作家クリストファー・イシャーウッドの小説『A single man(原題)』。同性愛者であることを公言しているトム・フォード監督は、同小説を読んだ後、主人公・ジョージのことが頭から離れなかったという。

注目したいのは、ジョージとケニーが夜の海に飛び込むシーン。ジョージはスーツという鎧を脱ぎ捨て、裸になり海に飛び込む。

性的マイノリティであるトム・フォードは、ファッション業界という、ある意味、自分自身の鎧を作り上げる業界に属している。このシーンは鎧で身をおおった偽りの自分から、ありのままの自分に立ち返ることを暗示しているシーンにみえる。

そんな自分の鎧に囚われていたジョージを新しい人生に導くのがケニーなのだ。ジョージは、最終的にケニーとの未来に光明を見出し、事前に書いておいた遺書を暖炉で燃やす。

あともう少しだけ、生きてみようと人生を取り戻しつつあったジョージの結末とは? それは各自の目で確かめてほしい。

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