2023年民放ドラマ表彰式(4)最優秀助演女優賞にふさわしいのは? ポンコツの汚名返上…演技派として飛躍を遂げたのは?
2023年も残すところ僅か。今回は2023年の民放ドラマ作品を振り返る「映画チャンネル ドラマアカデミー賞」を開催。「主演男優賞」、「主演女優賞」、「助演男優賞」、「助演女優賞」、「新人賞」、「脚本賞」、「主題歌賞」の7部門から映画チャンネルが独断で選出。今回は今年もっとも輝いた助演女優賞を選出する。(文・寺島武志)
「助演女優賞」
生見愛瑠『日曜の夜ぐらいは…』(日本テレビ系)
【他のノミネート】
芦田愛菜(日本テレビ系『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』)
川口春奈(テレビ朝日系『ハヤブサ消防団』)
上白石萌歌(TBS系『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』)
黒木華(TBS系『下剋上球児』)
【授賞理由】
ラジオ番組が企画したバスツアーをきっかけに運命的な出会いを果たし、新たな夢に向かっていく3人の女性の友情を描いた本作。
経験豊富な清野菜名、岸井ゆきとともに3人組の1人としてキャスティングされたのは、“名古屋一かわいい女子高生”という謳い文句でモデルとして活躍していた「めるる」こと生見愛瑠。
映画『モエカレはオレンジ色』(2022)で、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したことによる抜擢と思われるが、バラエティー番組では、その天然キャラから“ポンコツめるる”という有り難くない異名を取っていただけに、不安の声も少なくなかった。
ところが、そのイメージとは反して、複雑な家庭で育ち、友達もいないまま、ちくわぶ工場で働く樋口若葉を好演した。勤務先を辞める際、ちくわぶ工場の2代目社長に「そこのバカ社長、お前だよ!」と詰め寄りながら「先代のおかげでいいもん作ってんだから、もっと企業努力しろタコ!」と強烈な一言を浴びせて工場を去るシーンは、正直なところ、まだ「俳優・生見愛瑠」としてではなく「めるる」としてのキャラが前面に出ていた印象だった。
しかし、何かとお金をせびりに来る毒母・まどか(矢田亜希子)の存在に、宮本信子演じる祖母の富士子とともに苦しめられるなど、逃れられない運命に悩まされる人生を送る若葉を演じる中で、徐々にその演技が評価され、最終的には清野、岸井を比較しても遜色ない存在感を発揮する。
この好演が評価され、春期ドラマ『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)では、19歳で妊娠中であり、殺人事件の犯人でもあった女性・萱場千寿留役を演じ、秋期ドラマ『セクシー田中さん』(日本テレビ系)では、主人公・田中京子(木南晴夏)に憧れ、行動を共にする主要キャストの派遣OL・倉橋朱里役を演じるなど、2023年はめざましい活躍を見せた”めるる”に、誠に勝手ながら賞を贈りたい。
(文・寺島武志)
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