クーデターの黒幕は? ラストシーンの意味は? 映画『終わらない週末』徹底解説&考察レビュー。オバマ元大統領製作の話題作
text by ジュウ・ショ
2023年末にNetflixが仕掛けた終末系映画『終わらない週末』。2024年を迎えた現在においてもランキング上位をキープしており、かなりの注目度が伺える。ここ数年、生成AIの登場をはじめ毎日のようにデジタルが生活に侵入している現在だからこそ描けた素晴らしい映画だ。今回は『終わらない週末』についてレビューする。(文・ジュウ・ショ)
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【著者プロフィール:ジュウ・ショ】
フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。→note
製作総指揮はまさかのオバマ元大統領夫妻
『終わらない週末』の原作は、2020年にルマーン・アラムが書いた小説だ。同作はアメリカの全米図書賞フィクション部門の最終候補作となった。また2021年にオバマ元大統領が「2021年の夏の読書リスト」の一つとして紹介し、広く認知度を高めた……という背景がある。
2023年末に満を持して映画化されたわけだが、そのエグゼクティブプロデューサーにはオバマ夫妻が名を連ねている。詳しくは後述するが、この作品から感じるメッセージの一つとして「アメリカが迎える最悪の結末」という社会的な要素がある。
「政治家が映画を作る」という日本では考えられない図式により、作品の社会的メッセージが色濃く決定づけられた部分はあるだろう。
では早速、その物語のあらすじを簡単に紹介する。