似すぎてやばい…原作を完璧再現! 漫画実写化、最高のキャラクター(3)これが完コピ! 脅威の役作りで憑依
人気漫画作品が実写映画化される時、やはり気になるのはキャラクターの再現度だろう。見た目はもちろん、キャラクターの独特のクセや役者本人の持つ雰囲気など、様々な要素をクリアしなければ、視聴者に受け入れてもらうことはできない。そこで今回は、我々のシビアな目をくぐり抜けた実写化映画の再現度が高い俳優を5人セレクトして紹介する。
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甘えを許さない血のにじむような役作り
中村獅童『ピンポン』ドラゴン
監督:曾根文彦
原作:松本大洋
キャスト
ペコ:窪塚洋介
スマイル:ARATA(井浦新)
アクマ:大倉孝二
ドラゴン:中村獅童
【作品内容】
神奈川県藤沢市。星野裕(通称ペコ)と月本誠(通称スマイル)は、共にタムラ卓球場で小学生時代から卓球をやってきた幼馴染。ペコは確かな実力を持ちながら己の才能に自惚れ、誰に対しても不遜だった。一方のスマイルは、決して笑わず無愛想で、そんな態度からペコにスマイルと渾名されていて…。
原作は『週刊ビッグコミックスピリッツ』にて1996年から1997年にかけて連載された、松本大洋による異色の卓球漫画。2002年公開の実写映画では主演のペコを窪塚洋介が演じ、CM出身の曽根文彦がメガホンをとった。
【注目ポイント】
『鉄コン筋クリート』をはじめ、数々の名作で知られる1967年生まれの漫画家・松本大洋原作の『ピンポン』。松本の描く人物は一筋縄ではいかない、変わった性格やルックスをしていることから、実写化のハードルは高い。しかし、本作は、松本大洋の世界を愛するスタッフとキャストが集結し、細心の演技と映像表現で好評を博し、公開から20年以上経った今でも愛されている。
主な登場人物は4人。窪塚洋介演じる主人公、天才肌の卓球選手・ペコ。井浦新が演じる、冷静沈着なカットマン・スマイル。そして、大倉孝二が活き活きと演じる、努力型の選手・アクマ。そして、中村獅童演じる、高校卓球界の頂点に君臨する帝王・ドラゴン(風間竜一)である。
中村獅童が演じるドラゴンは、筋肉隆々の体に綺麗に刈り上げられた坊主頭という風貌に加え、高校卓球界で最強の選手として知られており、ストイックで甘えを許さない性格。
中村は、いかにも堂々とした歩き方や、プレー中の鬼迫の表情、そして腹から押し出される怒声など、他者を圧倒するオーラをパーフェクトに再現。その徹底ぶりは、漫画版の“完コピ”と言っても過言ではないほど。
特に主人公・ペコとインターハイで対決するシーンは、中村獅童の内からにじみ出る闘争心と、ドラゴンというキャラクターが背負っているものが完璧に一致した結果、日本映画史に残る名場面をものにしてみせた。
実は、製作当時、歌舞伎も芝居も崖っぷちだったという中村獅童。見事にオーディションでドラゴン役を射止めたものの、当時は卓球も未経験だったという。
クランクインの2ヶ月前から卓球を猛特訓し、ドラゴンの見た目に近づくために10キロ減量。ジムで体を鍛え、髪の毛はおろか眉毛まで全剃りして挑むという完璧な役作りをして臨んだ役だった。ちなみドラゴンは、コワモテかつ自信満々な風体に反して、チャンピオンであることに多大なプレッシャーを感じており、試合前にはトイレに閉じこもる一面も。素晴らしいことに、中村獅童は、ドラゴンのそうした繊細な部分も抜かりなく再現している。
進退をかけて臨んだ役を見事に演じ切った中村は、本作は日本アカデミー賞を始め、ゴールデン・アロー賞やブルーリボン賞などで新人賞を獲得。一躍その名を世間に知らしめることになった。
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