最終月突入で波乱の展開も…? 笠置シヅ子と黒澤明の知られざる関係とは? NHK朝ドラ『ブギウギ』考察&感想レビュー
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』。本作は、戦後昭和の大スター・笠置シヅ子がモデルの主人公・スズ子(趣里)が、歌手の道を突き進む物語。今回は、名曲「東京ブギウギ」や、「ジャングル・ブギー」を中心に、物語を史実と共に振り返るレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:田中稲】
ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。
名曲「東京ブギウギ」のヒットの裏に戦争の影
2月のブギウギのめまぐるしさよ……! 1947年から、1950年まで、曲でいえば「東京ブギウギ」から「買い物ブギ」までの笠置シヅ子の3年間が描かれたが、本当に波乱万丈である。2月末ギリギリで、村山トミさん(小雪)が亡くなり、大好きだったマネージャー・山下さん(近藤芳正)が辞めてしまった。ああ、山下じいロス!
思い出してみれば、2月1日の時点では、まだ愛助さん(水上恒司)は生きていたころだ。もう遠い昔のことのようである。2月2日放送回で亡くなり、愛子ちゃんの誕生の喜びのなか、その死をどう伝えるか、坂口さん(黒田有)と山下さんが苦悩する様子は胸が痛かったし、真実を知ったスズ子(趣里)の魂の抜けたような顔は、もう涙失くして観られず。2月3日までの第18週「あんたと一緒に生きるで」は本当につらかった。
しかし次の週の第19週「東京ブギウギ」では、前を向いたスズ子が必死で生きていく姿が描かれ、戦後復興でもがきながらも立ち上がる占領下の日本と重なり合い、すさまじい勢いで話が進んでいった。
「東京ブギウギ」が大ヒットした1948年前半は、当時は敗戦から3年が経ち、日本がやっと立ち直りかけたころ。しかし同時に、軍国政治の終焉で開放感を覚えつつも、アメリカの占領下の閉塞や、戦争の影響による不安も残った複雑な時代背景もあった。
その「影」の部分を担ったのが、タイ子ちゃん(藤間爽子)と達彦くん(蒼昴)親子、そして戦争で家族を亡くした家政婦の大野さん(木野花)である。特にタイ子ちゃんは久々の登場なのに、昨年11月24日回で、妊娠が発覚し「この子生まれたら、ウチも東京行く予定やからまた遊んでな」と話していた伏線がこんな形で回収されるとは……。