磯村勇斗の卓抜な芝居はなぜ「主役を食わない」のか…? 唯一無二の演技の魅力を解説。新世代の国民的俳優の演技を徹底解剖
text by あまのさき
今や映画やドラマに引っ張りだこの磯村勇斗だが、実は最初から日の目を見ていたわけではない。高校生の時に地元の劇団で芝居を学び始めるが、すぐに芸能事務所に所属できたわけでもなく、フリーで役者を始め、小劇場を中心に活動していた経歴を持つ。そんな彼も今や日本を代表する俳優へと成長した。そこで今回は磯村勇斗の魅力を徹底解明する。(文・あまのさき)
ーーーーーーーーーー
【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
演技派イケメン俳優
俳優・磯村勇斗の底力に迫る
第47回日本アカデミー賞で、磯村勇斗が最優秀助演俳優賞を受賞した。磯村といえば、2015年に放送された『仮面ライダーゴースト』(テレビ朝日系)で注目を集め、その後2017年の『NHK 連続テレビ小説 ひよっこ』で人気を拡大。2018~19年にかけて出演した『今日から俺は!!』(日本テレビ系)、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)、『サ道』(テレビ東京系)でファンの裾野を広げ、演技派イケメン俳優として、すでに十分な地位を築いたといって申し分ないだろう。
そんな磯村だが、直近2年の活躍は目を見張るものがある。2022年は映画だけで『前科者』、『ホリック xxxHOLiC』、『PLAN75』、『ビリーバーズ』、『異動辞令は音楽隊!』『さかなのこ』などに出演。
作品数の多さもさることながら、驚くべきは役の幅の広さだ。人ならざるものに魅了されこれでもかと色気を振りまく役から、高齢者に対する特殊な制度に向き合い社会のあり方に葛藤する市役所職員、カルト宗教にハマり自身の欲望との狭間で揺れる役まで、磯村の演じる役は到底、一筋縄ではいきそうもないものばかり。
これらの演技もTAMA映画賞やヨコハマ映画祭で評価されているものの、これはまだ助走に過ぎなかった。