小説と“アレ”が違う…原作ファンをモヤモヤさせたワケ。映画『変な家』徹底考察&評価。実写化ならではの見所は? 深掘り解説
YouTubeから人気を確立したホラー作家・雨穴による、発行部数90万部を超える小説を原作とする映画『変な家』が公開中だ。間宮祥太朗、佐藤二郎、川栄李奈が出演。映画オリジナル展開が“怖い”と話題の本作の見どころを、原作と映画の比較を交えて考察する。(文・前田知礼)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
———————–
【著者プロフィール】
前田知礼(まえだとものり)1998年広島県生まれ。2021年に日本大学芸術学部放送科学科を卒業。制作会社で助監督を経て書いたnote「『古畑任三郎vs霜降り明星』の脚本を全部書く」がきっかけで放送作家に。現在はダウ90000、マリマリマリーの構成スタッフとして活動。ドラマ「僕たちの校内放送」(フジテレビ)、「スチブラハウス」(日本テレビ)の脚本を担当。趣味で、Instagramのストーリーズ投稿で映画の感想をまとめている。
今までとは違う角度の「物件モノ」映画
最近、「事故物件」の映画が多くないですか?
例えば、亀梨和也主演で大ヒットした映画『事故物件 恐い間取り』(2020)は、売れない芸人が番組の企画で事故物件に住む映画で、『劇場版 ほんとうにあった怖い話 事故物件芸人』(2021〜)シリーズも大枠は同じ話だ。
そして、『真・事故物件 本当に怖い住民たち』(2022)では、同じく番組の企画で事故物件に住むことになったYouTuberたちが餌食になる。
売れない芸人ないしはバズりたいインフルエンサーの卵が、事故物件に住んで、痛い目に遭う。過去にその場所で起きた事件を解明し、全ては解決したように思えたのも束の間、新たな怪異の気配を漂わせて物語は終わる……と、プロットは大抵こんな感じだ。
確かに考えてみると、事故物件系の映画って作りやすい。それっぽいアパートさえあれば(最悪スタッフの家でも)撮影できるし、セットを建てるにしてもかなり安上がり、家の話なのでエキストラも要らない。
過去の住人やその土地を調べていくうちに、事件の真実に辿り着くというミステリー要素も入れやすい。そして何よりも事故物件は「誰しもの生活のすぐそばにある恐怖」ということもあり、観客の興味を引きやすいのだろう。
3月15日に全国公開された『変な家』も、同じように「事故物件」にまつわる映画だが、これまでの事故物件系ホラーとは一線を画する面白さを感じることができた。