史上最高の「芸能人声優」といえば…? 有名人が声優を務めたアニメキャラベスト5選。ファンから大絶賛された配役をセレクト
text by ジュウ・ショ
アニメ映画に欠かせないのが声優の声。キャラクターに息を吹き込む大切な役目であり、声優の良し悪しによって作品の出来は左右される。しかし、アニメの吹き替えにはプロの声優でなく、タレントなどの芸能人を起用するケースは珍しくない。そこで今回は、芸能人が声優を担当して成功した映画を5本セレクトして紹介する。(文・ジュウ・ショ)
——————-
【著者プロフィール:ジュウ・ショ】
フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。→note
あまりの上手さに観客が気づけない
菅田将暉『君たちはどう生きるか』(2023)
【作品内容】
太平洋戦争中、母の死を経験した少年・眞人は、父親とともに田舎へ疎開する。新たな母親である夏子を認められず、父親にも複雑な感情を抱く彼のもとに人間の言葉を話す謎のアオサギが現れ、一緒に幻想的な「下の世界」へ足を踏み入れる。
【注目ポイント】
第96回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞した宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』。非常に難解で複雑なストーリーをキャッチーな世界観で表現した本作で、物語のカギを握るアオサギを演じたのが、俳優・菅田将暉だ。
個人的には、エンドロールで菅田将暉の名前を見たとき「え、どの役が菅田将暉だった?」と考え込んでしまうほど作品に溶け込んでいた。
そもそもアオサギは難易度の高いキャラクターだ。鳥と人間の姿を行き来するが、中身は中年の男性である。過度にひょうきんでないし、かといって威厳もない。人によって解釈が分かれるキャラクターなのだが、見ていて自然に感じる。
それはひとえに現代を代表する「カメレオン俳優」菅田将暉の“憑依力”の賜物だろう。
映画俳優・菅田将暉の武器と言えば、伸びやかなアクション、力強いまなざしを思い浮かべる人は多いだろう。その点、声優という仕事は不利なのではないかと思われがちだが、本作では声を駆使して活き活きとしたキャラクターを作り上げることに成功。役者としての幅の広さ、底の深さを見せつけた。