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観ていてイライラする…最も嫌われたNHK朝ドラヒロイン(3)ブレブレ設定で迷走…安易で差別的なキャラとは?

text by 寺島武志

国民的女優を生み出す登竜門的存在、NHK連続テレビ小説。そのヒロインといえば、朝ドラの顔に他ならない。しかし、数あるヒロインの中には、キャラクターやストーリーが視聴者から不評を買ってしまう例も存在する。今回は、歴代朝ドラ作品の中から、特に視聴者から評判が悪かったとされるヒロインを5人ご紹介する。(文・寺島武志)

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ブレブレのキャラ設定と場当たり的なストーリーで迷走

『まれ』(土屋太鳳)

土屋太鳳
土屋太鳳Getty Images

主人公:津村希→紺谷希
放送期間:2015年3月30日~9月26日
脚本:篠崎絵里子
最高視聴率:22.7%
主演:土屋太鳳

【作品内容】

夢を追う父・徹(大泉洋)に振り回された挙げ句、事業が失敗し、夜逃げ同然で東京から石川・能登に移住する津村一家。父を反面教師に娘の津村希(土屋太鳳)は堅実な少女に育つ。

パティシエになるという夢を実現するために、公務員を辞め、横浜に住むオーナーパティシエにして「巨匠」とも呼ばれる池畑大悟(小日向文世)に弟子入りする。

修業・恋愛・別居婚・仕事との両立などの試練を乗り越え、第二の故郷となった能登でケーキ店を開く…。

【注目ポイント】

一見、朝ドラの王道のような設定で、平均視聴率は20%を超えていた。

しかし、登場人物のキャラクター設定や、「パティシエ」をはじめ、大悟の長男・大輔(柳楽優弥)の「司法書士」、希の弟・一徹(葉山奨之)の「デイトレーダー」という職業の描写に粗が目立つ。

コツコツとした性格だったはずの希が徐々に直情径行型に豹変し、恋仲となった輪島塗の職人・紺谷圭太(山﨑賢人)を支えるために突然、パティシエ修業を中断し漆器の女将修業を開始。さらには店を開いたとたんに妊娠して閉店するという場当たり的なストーリーに、視聴者が付いていけずに混乱を招く。

一方、父・徹は、自己破産し、縁もゆかりもない能登へやって来て、仕事もなくブラブラしていたかと思ったら妻子を置いて放浪の旅へ。帰って来てようやく見つけた仕事は役所の清掃員だった。その後、IT企業を立ち上げて成功を収めるも、倒産して部下の恨みを買い、またもや失踪。再び清掃員に戻る。

落ちぶれた人間は清掃員、成功者はIT社長と、いかにも安易で差別的な設定だ。

大泉洋が演じたこの役は、視聴者をイライラさせるが、逆から見れば、それだけ物語に感情移入している証拠でもあるといえよう。

本作は、登場人物が自然にスマホを使いこなす初の作品でもあり、そういう意味では朝ドラにも新時代が到来したことを感じさせる作品だった。

主演の土屋太鳳は、その後もドラマ『下町ロケット』(2015、TBS系)や、Netflix作品『今際の国のアリス』を筆頭に、映画・ドラマ・司会など様々な活動をこなしている。

その一方で、1月1日に発生した能登半島地震で被災した本作の舞台・石川県輪島市への思いをインスタグラムでつづり、“第二の故郷”への恩返しを誓った投稿が反響を呼んだ。

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