“自宅で映画館クオリティが実現”…世界で活用される日本発の映画技術を解説。日本企業が無双するもう一つのアカデミー賞とは?
text by 中川真知子
宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』や山崎貴監督『ゴジラ−1.0』など、日本勢が躍進した2024年のアカデミー賞。しかし、その裏で、実はとある日本の企業が受賞していたのをご存じだろうか。今回は、映画産業の貢献者に送られる「アカデミー科学技術賞」を受賞した日本のプロフェッショナルたちをご紹介しよう。(文・中川真知子)
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【著者プロフィール:中川真知子】
映画xテクノロジーライター。アメリカにて映画学を学んだのち、ハリウッドのキッズ向けパペットアニメーション制作スタジオにてインターンシップを経験。帰国後は字幕制作会社で字幕編集や、アニメーションスタジオで3D制作進行に従事し、オーストラリアのVFXスタジオ「Animal Logic」にてプロダクションアシスタントとして働く。2007年よりライターとして活動開始。「日経クロステック」にて連載「映画×TECH〜映画とテックの交差点〜」、「Japan In-depth」にて連載「中川真知子のシネマ進行」を持つ。「ギズモードジャパン」「リアルサウンド」などに映画関連記事を寄稿。
日本企業が多数受賞した“もうひとつのアカデミー賞”
「アカデミー科学技術賞」とは!?
2024年第96回アカデミー賞授賞式は、『君たちはどう生きるか』が長編アニメ映画賞受賞、『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞し、日本にとっても思い出深いものとなった。
だが、その前に徳島の日亜化学工業というLEDメーカーが「アカデミー科学技術賞」を受賞していたのはご存知だろうか。
「アカデミー科学技術賞」とは、アカデミー賞を主催する「映画芸術科学アカデミー」が映画業界に貢献し、長期的に影響を与えた科学技術を開発した企業や個人に贈る賞だ。かつてはアカデミー賞授賞式の一部として授与されていたが、今では独立した式典として別日に開催される。特定の映画に紐づけて授けられるわけでもないし、本受賞式ほど大々的に報じられることもないので注目されにくいが、実は日本の企業が何度も受賞しているのだ。
この記事では、その中でも特筆すべきテクノロジーを紹介する。