『古畑任三郎』にはない魅力も…随所で光るバカリズムらしさとは? ドラマ『イップス』第1話考察&感想レビュー
篠原涼子&バカリズムがW主演のドラマ『イップス』(フジテレビ系)が4月12日(金)より放送開始した。“書けなくなった”ミステリー小説家と“解けなくなった”刑事の二人が、事件を解決していくミステリーコメディー。今回は、第1話のレビューをお届けする。(文・釣木文恵)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:釣木文恵】
ライター。演劇、お笑いなどのインタビュー、ドラマのレビューを執筆。主な媒体に『TV Bros.』、『Quick Japan』、『GINZA WEB』、『ぴあ』等。
「イップス」に陥った二人の「ミステリーコメディー」
「バカリズムのドラマ」というフレーズでは、まだバカリズムの立ち位置の判別はつかない。彼は記憶に新しい『ブラッシュアップライフ』(2022、日本テレビ系)をはじめ、多数のドラマを手掛けた脚本家でもあるからだ。そして、彼がドラマに出演するときは、脚本も同時に担当していることがかなり多い。
そんな中、4月12日(金)にスタートした『イップス』(フジテレビ)では、バカリズムは俳優に徹している。この脚本をメインで担当しているのは、彼と10代の頃から親交のある放送作家のオークラだ。
ミステリー作家の黒羽ミコ(篠原涼子)は、舌鋒鋭くニュースを斬るコメンテーターとして毎日のようにワイドショーに出演している。しかし、本業のミステリー小説は5年間も新作を書けていない。お気に入りの音楽をかけ、お香を焚き、お茶をいれ、題材をメモしたノートを開いても、いざ書こうとパソコンに向かうと手が全く動かない。
「イップス」=このドラマの解説によると「脳の緊張状態が引き起こす心理的症状で、今までできていたことが突然できなくなってしまう状態」になってしまっているのだ。
一方、森野は知らない刑事・酒井(味方良介)から「一緒に写真を撮ってほしい」と頼まれるほど警察内では名の通った捜査一課のエリート。検挙率ナンバーワンを誇っていたが、こちらもイップスで、犯人を追い詰めることができなくなっていた。
ミコの大ファンだった森野は、5年前の最新作がイマイチだったことからいまやSNSにミコの小説に対するアンチコメントを書き込むようになっていた。
ともに「イップス」になってしまっている二人がたまたまサウナで出会い、事件に遭遇する。