原爆の罪に向き合わないアメリカ人のリアルとは…。ドキュメンタリー映画『リッチランド』場面写真&ポスタービジュアル解禁
広島、長崎への原爆投下から79年…その罪と痛みを背負うのは誰か? 第二次世界大戦下のアメリカ、マンハッタン計画のもとで生まれた町の知られざる歴史と現在を描いたドキュメンタリー映画『リッチランド』が、7月6日(土)に公開されることが決定した。併せてこの度、同作の場面写真とポスタービジュアルが解禁された。
『オッペンハイマー』に続く原爆関連映画
人類の“業”が重層的に浮かび上がるドキュメンタリー
第二次世界大戦下のアメリカ、マンハッタン計画のもとで生まれた町の知られざる歴史と現在を描いたドキュメンタリー映画、『リッチランド』の公開が決定した。
平和で美しいアメリカの典型的な郊外の町、ワシントン州南部にあるリッチランド。人々は町を愛し、隣人を愛し、仕事に誇りを持って暮らしている。
のどかに暮らす人々が応援する地元高校のフットボールチームのトレードマークは「キノコ雲」と「B29爆撃機」。チーム名は「リッチランド・ボマーズ」。
そう、リッチランドは、1942 年からのマンハッタン計画における核燃料生産拠点「ハンフォード・サイト」で働く人々とその家族が生活するために作られた町なのだ。
長崎に落とされた「ファットマン」のプルトニウムはハンフォード・サイトで精製されたもの。
終戦後は冷戦時に数多く作られた核兵器の原料生産も担い、稼働終了した現在は国立歴史公園に指定され、アメリカの栄光の歴史を垣間見ようと多くの観光客が訪れている。
「キノコ雲は 我らが誇り」 原爆を作るために生まれた町・リッチランドで人々の価値観が交差する
「原爆は戦争の早期終結を促した」と町の歴史を誇りを口にする者が数多くいる一方で、多くの人々を殺戮した“原爆”に関与したことに逡巡する者もいる。
また、暮らしやすい町に満足している人々でも「川の魚は食べない」と語り、核廃棄物による放射能汚染への不安を今も抱えながら暮らしている。
リッチランド高校の「キノコ雲」は町のいたるところで掲げられ、「原爆は戦争の早期終結を促した」と誇りを口にする人々。
一方で「川の魚は食べない」と語る者たちは、核廃棄物による放射能汚染への不安を今も抱えながら暮らしている。
町の歴史を誇りに思う者がいる一方で、多くの人々を殺戮した“原爆”に関与したことに逡巡する者もいる。そしてまた
「ハンフォード・サイト」自体、ネイティブアメリカンから“奪った”土地だったのだ。
様々な声が行き交う中で、被爆3世であるアーティスト・川野ゆきよがリッチランドを訪れ、町の人々との対話を試みるのだが...。
『オッペンハイマー』のその後、アメリカは“原爆”とどう向き合ってきたのか? その罪と痛みを背負うのは誰なのか?
リッチランドが生まれ、発展してきた歴史を紐解きながら、何気ない人々の日常の背景には常に「原爆」が横たわっていた町を描き出す。
多くの犠牲のもとで、多くの命を奪い、存在そのものが人類の脅威となってしまった“原爆”。
近代アメリカの精神性、そして科学の進歩がもたらした、人類の“業”が重層的に浮かび上がる叙事詩的ドキュメンタリーが、世界中の映画祭での上映を経てついに日本で公開となる。
原爆を落としたアメリカと被爆国である日本、原爆史観を揺さぶるであろう本作は、2024年7月6日(土)より シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
【作品情報】
『リッチランド』
監督:アイリーン・ルスティック
撮影:ヘルキ・フランツェン
エグゼクティブ・プロデューサー:ドーン・ボンダー、ダニエル・J・チャルフェン、マーシー・ワイズマン
プロデューサー:アイリーン・ルスティック、サラ・アーシャンボー
製作:コムソモール・フィルム
配給:ノンデライコ
(2023/アメリカ/93 分/カラー)
© 2023 KOMSOMOL FILMS LLC
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