津田健次郎玉砕…散り際の”横井”の言葉がグッときたワケ。『西園寺さんは家事をしない』第9話考察レビュー
text by 菜本かな
松本若菜主演、松村北斗共演のドラマ『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)が放送中。本作は、家事をしない主人公・西園寺さんが年下の訳ありシングルファーザーと「偽家族」として暮らすハートフルラブコメディ。今回は、第9話のレビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:菜本かな】
メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
ラブストーリーでは“選んだ人”と“選ばなかった人”が大きく分かれてしまう
諸説あるが、一生のなかで親しい会話ができるほど近い関係になる相手は、300人しかいないらしい。そして、友だちと呼べるほど深い関係になるのは、たったの30人。
この数字を見て、わたしは“少ない”と思った。同じクラスだったけれど、あまり話をしなかった同級生。ちょっとしか一緒に働くことができなかった同僚。そして、もう二度と会えなくなってしまった人たち。
“この人がいなければ、今のわたしはいない”とか、“わたしと出会ったことで、この人の人生を変えてしまったな”とまでは至らなかったとしても、すべての出会いがいまのわたしを形づくっていると思うから。
しかし、恋愛においては、“選んだ人”と“選ばなかった人”が大きく分かれてしまう。付き合う相手はひとりしか選べないからこそ、“選ばなかった人”とはお別れをしなければならない。
とくに、『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)のようなラブストーリーに関しては、ヒロインが誰と結ばれるのか? が注目を集めるため、いわゆる“当て馬”と呼ばれるキャラは、玉砕後はストーリーの展開に影響を及ばさないことが多い。
だからこそ、『西園寺さんは家事をしない』第9話の横井(津田健次郎)の言葉を聞いて、胸にグッとくるものがあった。
「たくさんの人と出会い、やがて別れる。でも、味は必ず残っているんです。記憶のなかに、心のなかに、次に一歩踏みだす勇気に」。