人類の滅亡を描く衝撃ラストは必見
『キャビン』(2011)
監督:ドリュー・ゴダード
脚本:ジョス・ウェドン、ドリュー・ゴダード
キャスト:クリステン・コノリー、フラン・クランツ、アナ・ハッチソン、クリス・ヘムズワース、ジェシー・ウィリアムズ、リチャード・ジェンキンス、ブラッドリー・ウィットフォード、ブライアン・ホワイト、エイミー・アッカー
【注目ポイント】
本作は、5人の若者が人里離れたキャビンで謎の力に翻弄される姿を描いている。また、本作には、既存のホラー映画のお決まりの展開をパロディ化するような側面があり、ある種の「メタホラー映画」となっている。というのも、本作には、若者たちを監視している存在が地下の世界におり、彼らは若者たちをホラー映画の登場人物に見立て、死に至るまでの経緯を「シナリオ」化していた…という混み入った仕掛けが施されているのだ。
見どころは枚挙にいとまがないが、とりわけ観客に鮮烈なインパクトを与えたのは、衝撃的なラストシーンだろう。ホラー映画ファンであれば歓喜する素晴らしい出来栄えなのだ。
物語終盤で、主人公・デイナ(クリステン・コノリー)とマーティ(フラン・クランツ)は施設の地下へとたどり着き、上記の監視者の存在と日夜謎の儀式が行われていることを知る。
実は、デイナら若者たちは、「古代の神々」を鎮めるための生贄であり、神の怒りを抑えるためには、「ビッチ」「戦士」「学者」「愚者」「処女」の5人を犠牲にする必要がある。上記の5つの役割はホラー映画の典型的なキャラクターであることは言うまでもない。
「古代の神々」が復活すると、人類が滅亡してしまう。そのため、世界中で同様の儀式が行われていたのだが、どの国でも失敗。デイナたちが最後の砦となっていた…というわけだ。
本作の結末。儀式を完成させるためにデイナはマーティを殺す必要に迫られるが、最終的に彼は「仲間を殺してまで人類を守る価値はない」と判断し、人類の滅亡を受け入れる。そして「古代の神々」と思われる巨大な手が地下から現れ、施設とキャビンを破壊するというエンディングを迎える。
人類の滅亡を暗示するラストが指し示すのは、生き残ったデイナとマーティも犠牲になる、ということに他ならない。「もしかして古代の神々の巨大な手=観客なのではないか?」などと、観終わったあと考察したくなること請け合い。衝撃の結末をぜひ目に焼き付けてほしい。