最も成功したTVドラマの劇場版は? 高クオリティの映画5選。数ある作品の中から素晴らしい成果を収めたものをセレクト
時代を象徴する名作ドラマは、舞台をお茶の間から映画館へと移し、さらに我々を楽しませてくれる。物語も演出も壮大となり、思い入れもいっそう強くなる劇場版はファン待望のビッグイベントだ。そこで今回は、史上最も面白いテレビドラマの劇場版を5本セレクトしてご紹介する。(文・村松健太郎)
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【著者プロフィール:村松健太郎】
脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。
成功した連続ドラマの劇場版の代名詞
『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998)
監督:本広克行
脚本:君塚良一
出演:織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里、水野美紀、ユースケ・サンタマリア、小林すすむ、佐戸井けん太、北村総一朗、斉藤暁、小野武彦、甲本雅裕、遠山俊也、浜田晃、津嘉山正種、大和田伸也、筧利夫、小泉今日子、神山繁、いかりや長介
【注目ポイント】
“連続ドラマの劇場版”の最高の成功例と言える『踊る大捜査線』シリーズの劇場版第1作。
連続ドラマ『踊る大捜査線』(フジテレビ系、1997~)は、世帯視聴率20%以上でヒット作という中で最終回の平均視聴率は23.1%という、大ヒット作とは言えない連続ドラマだった。
ただ、刑事ドラマに憧れて脱サラして警官になった青島俊作(織田裕二)と、警察の現実を知り尽くす和久平八郎(いかりや長介)、時に捜査の現場に政治を持ちこむ野心家キャリアの室井慎次(柳葉敏郎)との対比のドラマ。さらに、警察官を公務員として描く斬新な物語構成がファンの心を掴み、熱烈な支持を集めた。その人気は再放送などを通じてさらに広がり、スペシャルドラマを経て、1998年に満を持して映画化された。
その結果、本作は邦画実写の興行収入ランキングで歴代3位となる101億円を記録する大ヒットを収めた。
なお、邦画実写の歴代1位には、2003年に公開された続編『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』が君臨している。この2作目では、警視庁副総監誘拐事件、湾岸署内窃盗事件、そして胃の中にぬいぐるみが残される異常殺人事件が同時に発生する、最悪の3日間が描かれている。
さらに、この殺人事件は現在公開中の『室井慎次 敗れざる者』および『室井慎次 生き続ける者』へと繋がる重要なエピソードとなっている。