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映画『AKIRA アキラ』のすごさとは? 世界中で評価される理由を3つのポイントから徹底解説【あらすじ 考察 解説】

text by ZAKKY

今年は、日本が誇るアニメ映画『AKIRA』の公開35周年にあたる。漫画界の鬼才・大友克洋が原作・脚本・監督を手がけた同作は、映画『NOPE ノープ』の監督、ジョーダン・ピールが影響を公言するなど、世界中のクリエイターを魅了し続けている。今回は、『AKIRA』の公開35周年を記念し、その魅力を改めて考察する。(文・ZAKKY)

映画『AKIRA』の凄いポイント①

他の追随を許さない圧倒的な映像センス&「芸能山城組」による唯一無二のサウンドトラック

映画『AKIRA』
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時は1988年。CG描写もデジタル技術もまだアニメ製作現場で普及していなかった当時、いわゆる手描きのセル画で、世界最高品質のアニメーションを作り上げた。その結果、海外でも人気のあった日本のアニメ文化を別次元にまで底上げしたのが他ならぬ本作だ。

アメリカでは、公開当時、SF映画の最高峰として名高い「『ブレードランナー』を超えた!」と、高い評価が与えられた。そもそも、実写版映画とアニメ映画が比較されること自体が異例であり、映画『AKIRA』のセンセーションがいかに鮮烈であったかがわかるエピソードである。

特筆したいポイントは多いが、まずは、特殊な方法でなされた声優によるアフレコについて。通常は、アニメーションの動きに合わせて声優がセリフを吹き込むわけだが、本作では、先に収録した声優の声や口の動きに合わせて、アニメーションを作成している。それによって、キャラクターたちの表情や所作は、息を吞むほどのリアリティーを獲得。上記のような方法論は世界初の試みであった。

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続いて、劇中で使用されているサントラにも注目したい。「芸能山城組」という民族音楽を主題にした、日本のアーティストグループが担当。木琴や鉄琴のような音色のテクノ的なサウンドをベースに、力強い「歌」ではない、何とも奇妙な「肉声」が乗る。

例えるなら「不協和音的な讃美歌」とでも言うべきか、その独創的な楽曲は物語の世界観とも見事にマッチしており、こちらも世界的に高い評価を受けた。

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