異次元のセンスで圧倒する日本のトップ
峰蘭太郎
―――ほかに殺陣が凄い方といえば、どなたが思い浮かびますか?
清家「やっぱり、ウチ(東映剣会OB)の峰蘭太郎ですね。後輩役者として色々教えてもらったというのもありますが、僕の中では間違いなくトップですね。なんなら、2位とは大差を付けて…」
―――ダントツ。
清家「はい。殺陣の考え方とかも含めて、まるで格が違うというか。他の役者さんたちが考えていないところまで深く掘り下げて立ち回りをされている」
―――峰さんは以前、“斬られ役だけど斬りに行く”ということを大事にしていると仰っていましたが、具体的にはどんなことを考えるんでしょうか?
清家「斬られ役の時もそうですが、峰さんは、演じているキャラクターの心境、状況、動きを考えて、相手がこう来るなら俺はこうするという判断を瞬時に行うんです。パッとチャンネルを切り替えて、臨機応変に対応されるんですね。
正直なところ、誰も”峰蘭太郎”の足元にも及ばないです。格が違う」
―――それは、峰さんの殺陣への強い愛ゆえなんでしょうか?
清家「そうですねえ。やっぱり自分が一番好きだと思えているからかも。でも、立ち回りには最低限のセンスが必要なので、そのあたりも含めて、異次元の感性をお持ちですね。
僕がつける殺陣も現場で思いっきり膨らませてくれるんです。本当にすごいですね。本当にすごいですね」
―――その瞬間をこの目で見てみたいですね。こればかりは、プロの殺陣師である清家さんでしか掘り下げられない領域があると思っています。
清家「お芝居もそうですね。たとえば毎年赤穂でやっている『赤穂義士祭』で僕が書いた台本を演じてもらうんですけど、前回、今年峰さんが演じた吉良上野介がまあ素晴らしくて、立ち回りが完全に吉良の動きなんです。峰蘭太郎ではなく、完全に吉良上野介。
それからもう1ステージ、別の役で大立ち回りもやったんですけど、これもキレッキレでした」
―――峰さんは今76歳ですけども、やはり大川橋蔵の弟子というのはすごいですね。
清家「何をとってもすごいですよね。もう一流」