生身の人間とCGの絡みが微妙
ソニックのアメリカナイズされた性格描写に疑問
『ソニック・ザ・ムービー』(2020)
監督:ジェフ・ファウラー
脚本:パトリック・ケイシー、ジョシュ・ミラー
出演:ジェームズ・マースデン、ベン・シュワルツ、ティカ・サンプター、ジム・キャリー
【作品内容】
宇宙の果てで平和に暮らしていたソニックは、ある日、ナックルズ族に襲われる。ソニックの育ての親であるフクロウのロングクローは、彼を地球へと逃がした。それから10年後、ソニックはモンタナ州グリーンヒルズの町の近くで誰にも見つからないように一人の生活を楽しむ一方で、孤独な生活による寂しさも感じていた。
【注目ポイント】
『ソニックシリーズ』は、セガを象徴するキャラクターである、音速のハリネズミ・ソニックが主人公のアクションゲームシリーズ。日本国内よりも海外で高く評価されており、とりわけアメリカでは爆発的なヒットを記録したゲーム作品である。
国際的な人気を誇るゲームの世界を、アニメーター出身のジェフ・ファウラー監督が実写化した本作もまた、ゲーム版のファンとゲームをプレイしたことがない人たちの間で、評価が分かれた。
公開前には予期せぬ事件も。ソニックのビジュアルに急遽修正が入ったのだ。修正後のビジュアルを見たゲームファンは「こんなのソニックではない!」と、大ブーイング。これは実写だからといって、リアルに表現しすぎたのが原因だろう。ゲームのような可愛らしさがなく、毛並みの質感などが、あまりに動物的すぎるのである。
ちなみに、この作品は、ゲームで描かれたストーリーの再現ではなく、ソニックというキャラクターを現実世界に出現させることによって巻き起こる騒動を描いた、ある種、二次創作に近い発想によって作られている。
しかし、コンセプトはわかるが、架空のキャラクターと生身の人間が同じ画面に映ると、やはり違和感が拭えない。これはゲーム実写化の、描写面における永遠の課題でもあるだろう。
さらに、「ソニックって、こんな性格だったの?」と思わせるアメリカナイズされたふざけたキャラクター像に違和感を感じる日本人ファンも多かったのではないだろうか。