大河『べらぼう』の醍醐味とは? 染谷将太“歌麿”&岡山天音“恋川春町”の意外な繋がりも…。考察&感想レビュー【ネタバレ】

text by 田中稲

横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)が放送中だ。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く本作。今回は、第19話までのお話を史実も交えつつ、多角的な視点で振り返る。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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よかったよかった!
新之助(井之脇海)&うつせみ(小野花梨)第二の人生

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第19話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第19話 ©NHK

 大河ドラマ『べらぼう』第2章、幕開けの万々歳!

 才ある人たちとの出会いと時代の追い風、そしてなにより、蔦屋重三郎(横浜流星)の「誰も救えなかった罪悪感」が、パワーとなって、耕書堂は大きくなっていく。発展の様子が描かれた17話から19話を振り返ろう。

 テーマは「再会」である。

 5月4日放送の17話「乱れ咲き往来の桜」では、初端から耕書堂が人気を高めていく様子が描かれて、めっぽう縁起がいい。その勢いたるや、昭和は矢沢永吉、江戸は蔦重と言いたくなるほどの成り上がりっぷり。蔦重が顔を出せば、江戸のギャルたちが目をハートにしてキャッキャするのも面白い。

 つくづく思うが、日曜日20時の横浜流星は、横浜流星ではない。蔦屋重三郎である。もし男版「ガラスの仮面」があったなら、北島マヤ役は横浜流星に決まりだろう。

 そう思えるほど彼はなりきっている。恐ろしい…!

 さて、この回で視聴者をホッとさせた「再会」は、俄祭りに姿を消した新之助(井之脇海)とうつせみ(小野花梨)カップルである。うつせみはSNSでも、その名前から「幸薄そう」と身の上を案ずる声が相次いでいた。何を隠そう私もその一人。

 しかし2人は、農業という健全な職に転職。うつせみは本名の「ふく」として幸せに暮らしていたのだ。なるほど、遊女人生を終えた彼女は「福(ふく)」を手に入れたというわけか。なんと最高。幸せになって!

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