染谷将太の顔を見てなるほど納得、喜多川歌麿!

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第18話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第18話 ©NHK

 そして18話「歌麿よ、見徳は一炊夢」。この回の「再会」は唐丸だ。5話「蔦に唐丸因果の蔓」(2月2日放送)までの、幼少期の唐丸を演じたのは、名子役・渡邉斗翔。今回から、染谷将太になっていた。

 神キャスティングによる、あまりにも自然な成長モードに驚愕。才あふれる大きな瞳や顔立ちがそっくりではないか。私は以前記事で「唐丸は成長して写楽になる」とハッキリ書いてしまったが、大外れのコンコンチキだった。

「絵が上手い、出生が謎=写楽」と短絡的な推理をした自分が恥ずかしい。演じる人の「顔」という大ヒントを見逃していた。喜多川歌麿だったのか…。

 染谷将太は絵を描くシーンがとても美しい。「一心不乱に何かをする姿」がとてもハマる。映画『バクマン。』(2015)新妻エイジ然り、Netflixドラマ『地面師たち』(2024)の長井然り、趣味に没頭しているうちに常識的生活から逸脱した的な役は、今、彼が一番なのではないか。

 唐丸は大人になり、すべてを諦めた「捨吉」になっていた。それを蔦重が説得し、耕書堂に連れて行く、人別(戸籍)がない捨吉のために駿河屋の女将・ふじ(飯島直子)が「勇助」という人別を手に入れる、追手が来るも、次郎兵衛(中村蒼)のテキトーな相槌により丸く収まる…というチームプレーにより、「歌麿」が誕生する流れは泣ける。

 そうなのだ、すべてが団体戦。ひとりじゃ無理な難題を、いろんな人の小さなフェアプレーでアリにするのが、『べらぼう』の醍醐味なのである。

「おめぇを助けることで自分も救われる」

 蔦重のセリフが沁みる。人間のつながりの根っこは、これなのかもしれない。

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