実は春町と歌麿は兄弟弟子?
こうして耕書堂から「100年先の江戸の未来」を描いた「無益委記」が刊行され、現在、国立国会図書館デジタルコレクションで全ページ閲覧できる。見ていただければわかるが、恋川春町は、芯からカタブツなわけはない。絶対、心の中にオモロ な―部屋を持っている人だ。100年先は、長い髷が流行るとか、6月に寒波が来て、汗がつららになるとか。おとぼけチックな絵がまたいい!
そもそもペンネームに「恋」という漢字をあてるあたり(由来は小石川の〝こい〟らしいが)、ロマンチック大王に決まってるじゃん!
ちなみに、恋川春町の師匠は鳥山石燕。18話で幼き唐丸に妖怪の絵を教えていた、不思議じいさんである。片岡鶴太郎が不気味かつ崇高に演じていた。
つまり、春町と歌麿は大きな意味で兄弟弟子。歌麿は「春町の絵が好き」と言っていたが、自然と何かを感じ取っていたのかもしれない。二人が、師匠との思い出話を和やかに話すシーンがあったらいいなと思う。