ジブリ屈指の異色作の元ネタは?

『紅の豚』は元々飛行機で上映するようの短編だった?

© 1992 Studio Ghibli・NN
© 1992 Studio Ghibli・NN

【注目ポイント】

 1992年に公開されたスタジオジブリの名作『紅の豚』は、元々航空会社の機内上映用の短編作品として企画されたという逸話があるのをご存じだろうか。

 本作の原点は、宮崎駿監督が雑誌に連載していた「雑想ノート」の中の短編漫画『飛行艇時代』に遡る。この漫画は、第一次世界大戦後のアドリア海を舞台に、空賊と戦う飛行艇乗りの物語であり、後の『紅の豚』の原型となった。

 当時、宮崎監督は『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』など立て続けに長編を制作し、さすがに疲労困憊していたという。次回作の間を空けずに作る必要があるものの、長編に取り組むのは厳しい。そこで鈴木敏夫プロデューサーのアイデアのもとになったのは、宮崎監督が雑誌に連載していた漫画『飛行艇時代』を基に制作する機内上映用の短編映画の制作。飛行機好きの宮崎監督にとっては趣味を活かした作品構想になるという発想だったようだ。

 その後、日本航空と提携して出資を得たものの、宮崎監督は制作が進むにつれて物語が膨らみ、最終的には長編映画『紅の豚』として公開されることに。このように機内上映用の短編として始まった企画が、長編へと変更となりスタジオジブリの代表作の一つへと発展した。

 このトリビアは、スタジオジブリの創作過程や宮崎駿監督の作品への情熱を感じることができるエピソードとして、ジブリファンの筆者としても非常に興味深い。『紅の豚』を再び鑑賞する際には、ぜひこの制作の裏話を思い出してみてはいかがだろうか。

【著者プロフィール:阿部早苗】

仙台在住のライター。2020年にライターデビュー。これまで東日本大震災での企業活動をまとめた冊子「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパーを執筆した他、エンタメニュース、福祉関連記事、GYAOトレンドニュース、地元グルメライターなどWEB媒体を中心に執筆。映画なしでは生きられないほど映画をこよなく愛する。

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