ツンデレの源流となった古典ラブコメ
『或る夜の出来事』(1934)
監督:フランク・キャプラ
脚本:ロバート・リスキン
出演者:クラーク・ゲーブル、クローデット・コルベール
【作品内容】
大富豪の娘エリー(クローデット・コルベール)は、父親に結婚を反対された事に怒り、父と乗っていた船から逃亡する。なんとかニューヨーク行きのバスに乗り込んだ彼女は、偶然席が隣り合わせとなった失業中の新聞記者ピーター(クラーク・ゲーブル)と旅を共にすることとなる。道中、さまざまなトラブルに巻き込まれる2人だったが、互いに心惹かれ始めていきー。
【注目ポイント】
スクリュー・ボール・コメディとツンデレの源流になったのがこの『或る夜の出来事』である。第一印象が最悪でいがみ合っていた男女が最後に結ばれる…というプロットをもつ、万人に受けるロマンチックなラブコメディだ。
普遍的でいつの時代にも好まれる物語だろう。『或る夜の出来事』は1930年代のアメリカだが、仮に時代を100年後にしても100年前にしても大幅な設定変更無しで成り立つに違いない。
シェイクスピアの『空騒ぎ』はツンデレの要素を含んだユニークなラブコメの古典だが、時代が新しい分『或る夜の出来事』の方がよりモダンである。ラブコメ映画であれば、『恋人たちの予感』(1989)や『ラブ・アクチュアリー』(2003)の脚本もお手本とすべき素晴らしい例だが、映画史的に重要な古典であり、良い意味で誰にも嫌われないタイプの物語である『或る夜の出来事』に軍配を上げたい。
【著者プロフィール:ニコ・トスカーニ】
大学卒業後、IT技術者をしながら「ニコ・トスカーニ」のペンネームで兼業ライターとして活動。学生時代の専攻は英文学。
また共同制作者、脚本家として『11月19日』(2019)、『階段下は××する場所である』(2021)、『正しいアイコラの作り方』(2024)の3本の劇場公開作がある。
海外16か国に渡航したことがあるが、今のところすべて自腹である。
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【了】