女性版『トランスポーター』の触れ込みは嘘!
映画ファンどん引きのEランクのアクション映画
〇本家『トランスポーター』(2002)
×パクリ『トランスシューター』(2008)
原題:DIRECTOR
監督:アレックス・ローゼンバーグ
脚本:アレックス・ローゼンバーグ
出演:クラウディア・ダヴィラ
【作品内容】
舞台はフロリダ州。JRとマークという2人の男が刑務所から別の場所に護送されることに。一方、映画監督を夢見る不法移民・アドリアーナはネットを介してJRと知り合う。アドリアーナはJRから、宝石店に強盗に押し入る様子をフェイクドキュメンタリーとして撮ってほしいと依頼される。アドリアーノは快諾するが、JRは演技ではなく本当に宝石店を襲おうとしており…。
【注目ポイント】
まず、間違えないでいただきたいのは、『トランス・シューター』(2015)という、ライアン・クワンテン主演の映画があることだ。と言っても、こちらの作品の方が公開年は早いので、タイトルとしてはむしろ元祖だが、作品のジャケット画像はジェイソン・ステイサム主演の人気アクション映画『トランスポーター』と瓜二つ。レンタル店にて見かけた人の中には本気で『トランスポーター』と間違えて借りてしまった方もいるのではないだろうか。
また、主演のクラウディア・ダヴィラは、『トランスポーター』のヒロイン役スー・チーになんとなく似ているというキャスティングの念の入れようも用意周到である。そして、「ルールを破ったら命はない」というキャッチコピーも秀逸。
いや、ルールを破っているのは、この映画だろ! という話であり、製作者たちがその後業界で干されずに活動できているかどうか気になってしまうのは、余計なお世話であろうか。
また、某サイトなどの商品紹介では「女性版トランスポーター」などとも謡われており、本家との関連性を匂わせてもいるが、それはまったくないということを、ここで明言しておきたい。そして、中身はというと、とにかく無駄なカットが多すぎであり、観ていると頭が痛くなってくる。
脚本も幼稚極まりなく、オープニングにおけるJRとアドリアーナが護送されているシーンも、まったくいらなければ、JRがアドリアーナを仲間に引き入れる意味もよく分からない。言わば、ツッコミながら観る楽しみも少ないところも、パクリ映画界においてEランクの作品だ。