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表面的な“多様性”に批判の声も…。
ヒットに恵まれなかったディズニー創立100周年記念作品

『ストレンジ・ワールド もうひとつの世界』(2022)

原題:Strange World
製作国:アメリカ
監督:ドン・ホール
脚本・共同監督:クイ・グエン
製作総指揮:ジェニファー・リー
キャスト(声優):ジェイク・ギレンホール、ジャブーキー・ヤング=ホワイト、デニス・クエイド、ガブリエル・ユニオン

【作品内容】

クレイド家はかつて冒険一家として知られていたが、父・イェーガーが事故で生死不明となったことが原因で、冒険から離れ、農業で生計を立てている。そんな中、一家が暮らす「アヴァロニア」は資源豊かな国だったが、エネルギー源である植物が絶滅の危機を迎え、世界は崩壊へと向かう。

この危機を救うため、イェーガーの息子、サーチャーは地底に広がる、“もうひとつの世界(ストレンジ・ワールド)”へと足を踏み入れる。そこは奇妙な生物が暮らす幻想的な地底世界。そこでサーチャーは失踪していたはずの父イェーガーと再会を果たし、やがて地底世界とアヴァロニアの驚くべき正体を知るのだが…。

『くまのプーさん』(2011)、『ベイマックス』(2014)など、ディズニーの人気作品を数多く手がけたドン・ホールが監督を務めた。伝説的な冒険一家クレイド家の親子3世代が、奇妙で不思議な世界で壮大な冒険を繰り広げる姿を描く。「ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念作品」と冠されている。

【注目ポイント】

出演者Getty Images

ディズニー作品らしく、良い意味で何の捻りもない冒険活劇だ。そして、主人公は同性愛者である。しかし、その設定は本筋にほとんど影響を与えることはない。同じく、主人公は白人で妻は黒人であり、愛犬はなぜか3本足だ。

ストーリーに影響しない程度に、LGBTQや人種差別、障がい者差別をなくそうとする試みがなされている。志向自体はもちろん素晴らしい。しかし、無理やりにキャラクター設定に入れ込むことで、どうしても拭えない違和感が見え隠れする。

ディズニー作品にしては珍しく、日本での興行収入は約1億3000万円と伸び悩む結果に。本国アメリカでも、ディズニーアニメ史上歴代2番目に低いオープニング成績を記録し、その“爆死っぷり”が話題を集めた。

ディズニー的な世界観満載でありながらも、脚本がイマイチであることが爆死の理由だろう。特に日本のアニメファンは、脚本に注目する傾向がある。日本のファンを満足させるためには、単に良質なだけでは足りず、意外性のある展開や独創性のあるキャラクター造形が必要不可欠だ。それに加え、『トイ・ストーリー』や『アナと雪の女王』といった既存のヒット作のキャラクターが登場するわけでもなく、ディズニーブランドを上手に使えなかったのも、敗因の一つと言えるだろう。
(文・寺島武志)

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